婚活最前線

結婚できない理由は?婚活迷子脱出!現代の婚活事情とAIが生む新しい出会い

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現代において、結婚を望む多くの人々が「婚活迷子」となっているのが実情です。結婚のハードルがかつてよりも高く感じられる理由は、単にパートナーを見つける難しさだけではなく、社会全体が抱える構造的な問題や、新たな恋愛・結婚観の台頭によるものです。

特に、スマートフォンで「いいかも!」と感じる瞬間が増え、AIが導く意外な出会いのカタチが注目されています。これにより、出会いの場がリアルからオンラインへと移行し、身近な人との恋愛がリスクに感じられる若者も増えています。

さらに、少子高齢化が進む中で、中高年の婚活も新たな局面を迎えています。未婚や離別を経験した単身者が増加し、長寿社会における新たな出会いの必要性が高まっているのです。愛媛県など地方自治体の婚活支援も地域活性化の一環として注目され、婚活の新時代が到来しています。こうした状況の中、プロのアドバイスと共に伴走する新時代の結婚相談所が、多くの人々に新たな希望を提供しています。



結婚したいけどできない理由とは?現代の婚活事情を徹底解説


「結婚したい」と願う人が多い一方で、結婚に至る人の数は年々減少しています。1972年にピークを迎えた婚姻数は、2020年代にはその半分以下にまで落ち込んでいます。SNSや婚活サービスの普及により出会いの場が広がっているように見えるにもかかわらず、未婚や非婚の傾向が強まっているのはなぜでしょうか。この「婚活」の現状に迫ります。

東京都立大学の高橋勅徳准教授(48)は、婚活に挑戦した自身の経験を論文や著書で紹介しています。昨年12月に出版された「大学教授がマッチングアプリに挑戦してみたら、経営学から経済学、マーケティングまで学べた件について。」は、経営学を駆使して書かれた異色の婚活本です。モテない男性を自称する高橋さんは、婚活中に女性から冷たい対応を受け、「なぜ自分がこんな目に」と感じた辛い体験を分析し、「女性たちの本音と戦略がようやく理解できた」と振り返ります。

「婚活」という言葉は、2007年に中央大学の山田昌弘教授と少子化ジャーナリストの白河桃子さんによって生まれました。1990年頃まで、職場や学校での自然な出会いで「なんとなく」結婚できる時代が続いていましたが、その後、非正規雇用の増加や収入格差が生まれ、自然な出会いが減少。結婚したいのであれば、積極的に行動することが求められる時代となりました。

高橋さんが婚活を始めたのは44歳の頃でした。それまで研究に没頭していたため、恋愛にはあまり関心がなく、むしろ釣りや筋トレといった趣味を楽しんでいました。しかし、結婚した共同研究者が家族を大事にする姿を目の当たりにし、「一度くらい結婚してみてもいいかな」という気持ちが芽生えました。まずは婚活パーティーに参加し、年収1000万円を超える「ハイスペック男性」として挑戦。しかし、若い女性たちはイケメン男性に集中し、高橋さんは選ばれませんでした。

その後、大手結婚サービスの「結婚可能性診断」を試し、学歴や年収を入力すると「女性会員とのマッチングが1万人を超えた」との通知を受け、婚活を本格的に開始。清潔感のある服装や、女性が共感を求める話し方のアドバイスを受けながら努力しましたが、期待した結果には至りませんでした。「この人はないな」と判断される瞬間を感じ、婚活市場で自身がどのように評価されているのかを痛感したといいます。

婚活サービスでは、出会いの可能性が無限にあるように見えますが、実際には容姿や若さといった要素が重要視され、競争が激化しています。結局、高橋さんは婚活を2年で退場しました。彼が感じたのは、「結婚はしなくてもいいのでは?」という疑問です。かつては、結婚が生存戦略として不可欠な時代がありましたが、現代ではそれがリスクでしかないと考える人も増えています。キャリアや家族への責任を背負うリスクを回避したいという思いが、結婚への意欲を削いでいるのです。

日本の婚姻数は1970年代前半には年間100万組を超えていましたが、2021年には約50万組にまで減少しました。それでも、結婚の意思を持つ人は依然として多いことが、国立社会保障・人口問題研究所の調査でも示されています。しかし、初婚の平均年齢が上昇し、モテる男性は再婚を繰り返す一方、結婚を躊躇する人も増えています。こうした背景から、結婚が自己責任とされる現代社会で、結婚の意味が問われているのかもしれません。



婚活の新時代:スマホ画面で「いいかも!」を感じる時


かつてはリアルな出会いが主流だった婚活の現場も、今ではスマホの画面を通じて相手を見つける「マッチングアプリ」がメインツールになりつつあります。そんな中、実際にマッチングアプリを通じて結婚したカップルに話を聞いてみました。

東京都に住むAさん(26歳)は、昨年9月に結婚した妻・Bさん(25歳)との生活を楽しんでいます。2人は「タップル」というマッチングアプリで出会い、お互いのお酒好きという共通点が結びつけました。Aさんがアプリを始めてからわずか2週間後、「いいかも!」と感じたBさんにアプローチし、二人の恋が始まりました。

タップルは、シンプルプランでは女性が無料で利用でき、男性は月額約1817円からスタートできるのが特徴です。さらに、自分のプロフィールを異性の画面で優先的に表示させる「スタンダードプラン」もあり、若い世代からの支持を集めています。

Aさんが結婚を意識するようになったのは、2020年に父親が末期がんと診断されたことがきっかけでした。家族の温かさに触れる中で「早く自分も家庭を持ちたい」と感じ、婚活を本格的に開始。そして、夏実さんとの出会いに至りました。「マッチングアプリは、コストパフォーマンスが高く、価値観のすり合わせができるため、結婚を真剣に考える人には最適なツールです」とAさんは振り返ります。

2022年には、マッチングアプリで出会って結婚するカップルが全体の22.6%に達し、5組に1組がアプリを活用している計算です。このような背景から、マッチングアプリ市場は急成長を遂げており、今後もさらに拡大する見込みです。

多様なニーズに応えるため、国内外で多くのマッチングアプリが登場しています。例えば、「ペアーズ」は共通の趣味を持つ異性とのグループトーク機能が人気で、「with」は心理テスト診断が好評です。「タップル」を運営するサイバーエージェントの飯塚勇太社長は、「少子化が進む日本で恋愛の総量を増やしたい」と、恋愛をもっと気軽に楽しむことを提案しています。

一方で、リアルな出会いによる恋愛結婚は、かつてのような理想的な姿ではなくなりつつあります。国立社会保障・人口問題研究所の調査では、恋愛結婚の割合は減少傾向にあり、見合い結婚の割合が再び上昇しています。それでも、リクルートブライダル総研の調査によると、「職場や学校での自然な出会い」を理想とする人が依然として多いことが分かりました。

理想の出会いと現実のギャップは広がっているものの、現代の婚活においては、マッチングアプリがその差を埋める重要なツールとなっているのです。



現代の婚活事情:AIが導く意外な出会い/AIが生み出す新しい出会いのカタチ


マッチングアプリは、ただ条件を入力して相手を探すだけのツールではなくなりました。最近では、各社が人工知能(AI)を駆使し、より高いマッチング率を実現するための工夫を凝らしています。この背景には、東京大学の山崎俊彦教授の研究成果が生かされているのです。山崎教授の研究室が開発したAIは、独自のアルゴリズムを用いて、ユーザーが意識していなかった新たな出会いの可能性を広げています。

例えば、年収などの条件で絞り込み検索をすると、それに合致する相手だけが表示されます。しかし、AIは過去にマッチングしたカップルのデータをもとに、たとえ条件を満たしていなくてもマッチする可能性が高い相手を選び出してくれるのです。アプリ内での行動データを分析し、過去のカップルの行動パターンと照らし合わせることで、ユーザーに合った相手を推薦するのがこの技術の特徴です。山崎教授によると、実験では他のAIに比べてマッチ率が5ポイント上昇したという結果が出たそうです。

変化する気持ちと価値観のマッチング

AIによる「おすすめ」で実際に結婚に至ったカップルの一例として、興味深いエピソードがあります。最初の印象では「ナシ」だった男性ですが、彼の一途なアプローチと努力が次第に女性の心を動かしました。5か月の交際を経て結婚を決めた二人の関係は、AIの力で生まれたと言えるでしょう。

また、恋愛に奥手な人々をサポートするために、「with」というアプリは「価値観」に着目したマッチングを行っています。性格分析や心理テストを用いて趣味や性格のデータを収集し、それをもとに似た価値観を持つ人同士や、互いに補い合えるペアを提案するのです。

さらに、AIを使った「チャットGPT」がプロフィル作成を支援するサービスも登場しています。これにより、自己紹介がより魅力的になり、異性に効果的にアピールすることが可能になります。

婚活の歴史とネットの普及

婚活の手法は、時代とともに変わってきました。1980年代に始まった「条件で探す婚活」は、女性たちが雑誌などを通じて職業などを基準に結婚相手を見つける方法を模索する時代から始まりました。そして、インターネットの普及により、結婚相談所同士の情報共有や、パソコンを使って自分で相手を選ぶというスタイルが一般的になりました。

スマートフォンの普及がさらにこのトレンドを加速させ、手軽に相手を探せる「ネット婚活」が一躍ブームとなりました。東京都立大学の佐藤信准教授は、「手軽さが究極的な要因」として、アプリの普及を分析しています。利用者が増えることで、さらに多くの選択肢が広がり、婚活アプリ市場は今後ますます激しい競争が繰り広げられるでしょう。

現代の婚活は、AIやデータ分析を駆使した新しい形へと進化し続けています。今後も、テクノロジーが私たちの恋愛にどのような影響を与えるのか、目が離せません。



愛媛県の婚活支援が奏功!地域活性化と結婚促進の取り組みとは?


地方での婚活が注目を集める中、特に愛媛県が積極的な取り組みを展開しています。愛媛県では、経済界が中心となり、システム開発やボランティアの活躍を通じて、独自の婚活支援を推進しています。この背景には、少子化対策としての婚活への期待が高まる中、地方での人口減少への危機感が根底にあります。

松山市で開かれた婚活パーティー「ひめring」がその一例です。これは、仕事帰りの男女が集まり、リラックスした雰囲気の中で出会いの機会を提供するイベントで、33歳までの独身者が参加しました。参加者たちは、番号で呼び合いながらブースで自己紹介をし、5分ごとに異性と向き合って会話を交わしました。会場では、ボランティア推進員が参加者をそっとサポートし、特にフリータイムでは、緊張を和らげるためのさりげないアプローチが効果を発揮しました。その結果、6組のカップルが誕生し、参加者たちは次のステップに進むための新たな出会いを喜び合っていました。

「ひめring」の成功の秘訣は、誰もが参加しやすいシステムにあります。パーティーの主催は県内の企業が担い、運営は無償のボランティアが行っています。さらに、ビッグデータやAIを活用したマッチングシステム「愛結び」も開発され、全国で22の県がこの方式を採用していることからも、その先進性がうかがえます。このシステムは、経済界が主体となってIT技術を駆使し、効率的な事業運営を実現している点で他地域とは一線を画しています。

一方、愛媛県の少子化対策に対する取り組みは、地域おこしの一環としても進められています。例えば、離島に住む人々を対象としたパーティーや、親同士のお見合いなど、多彩なメニューが用意されており、これまでに約1万8000組のカップルが誕生し、そのうち約1450組が結婚に至ったという報告もあります。地域全体で結婚を応援する姿勢が、成功の鍵となっています。

しかし、愛媛県の出生数は減少傾向にあり、若い女性が県外に流出する現状に対して危機感が強まっています。ひめringに登録しても必ずしも結婚に至るわけではありませんが、ボランティア推進員の心温まるサポートにより、地域の魅力に気づき、新たな幸せを見つける人も増えているのです。

また、少子化や未婚化が進む一因として、職場結婚という伝統的な出会いの場が減少し、地方での「男余り」現象が指摘されています。特に、20代の若い女性が都会に流出してしまうことで、地方では結婚希望者が増えながらも、相手が見つからないという「不本意未婚」が増加しています。このような状況に対し、荒川和久さんは、雇用環境の改善などを含む根本的な対策が必要だと述べています。

地域ごとの婚活支援は大切ですが、それだけでは現状を打破することは難しいかもしれません。より広範な視点から、若者が安心して結婚できる環境作りが求められているのです。



「婚活迷子」から脱出!プロが伴走する新時代の結婚相談所の魅力とは?


婚活を進める中で、多くの人が抱える悩みの一つに「婚活疲れ」があります。理想の結婚相手を探す過程では、相手がどんな人物か、結婚にふさわしいかなど、さまざまな疑念や不安が浮かびます。時には、この迷いが心の負担となり、婚活が辛く感じられることもあるのです。

東京都内の商社に勤める30歳の女性も、そのような経験をしました。マッチングアプリで知り合った男性とのデート後、彼から届いたLINEメッセージを開くと、自分とは違う女性に宛てられた待ち合わせ確認の内容が表示されたのです。彼が別の女性とも会う予定だったことを知り、彼女は「このまま婚活を続けて何が得られるのか」と冷めた気持ちになりました。新型コロナの影響でテレワークが増えたことをきっかけに、マッチングアプリを始めたものの、たくさんの「いいね」が届いても、心から結婚を望める相手には出会えず、今ではアプリを「しばらくお休み中」としています。

また、ヤフーのデータ分析ツール「ヤフー・データソリューション DS.INSIGHT」によれば、「婚活」と一緒に検索されるキーワードからは、男女の婚活に対する悩みや関心が浮かび上がります。女性は「真剣交際」や「男性心理」など、相手の本気度を確かめたいという気持ちが強く、男性は「告白」や「会話ネタ」といったアプローチに対する不安を抱いていることが見て取れます。また、「疲れた」「厳しい」「うまくいかない」といったネガティブなワードも多く検索されています。インターネットを通じて無限の出会いが可能になった現代では、かえって選択肢が広がりすぎ、婚活に迷う人も増えたようです。

このような中で、注目されているのが「伴走型」の結婚相談所です。「オーネット」では、担当アドバイザーが成婚までのサポートを行い、希望者には「自分磨きパーソナルレッスン」も提供しています。たとえば、骨格やカラー診断を受けて、プロと一緒に買い物に出かけ、プロフィール写真やデートに適した服を選んでもらうことができます。東京都内の飲食店で働く31歳の女性は、レッスンを受けたことで「自己流で不安だった部分が解消された」と笑顔を見せていました。

オーネット池袋支社のアドバイザーである黒田良美さんによれば、結婚相談所を利用する人たちが「安心感」を求めているのだそうです。結婚相談所では、独身証明書や源泉徴収票などの書類が必要なため、既婚者が紛れ込んでいるリスクも少なく、安心して婚活を進めることができます。また、リクルートの「ゼクシィ縁結びエージェント」では、20~30代の若い利用者が多く、同世代の「マッチングコーディネーター」が、対話やデータを通じて利用者の「本当の条件」を引き出してくれます。担当者である岡理恵子さんは「友達でも家族でもない第三者だからこそ、リアルな悩みや希望を打ち明けやすい」と話します。

婚活業界全体でも、透明化や信頼性の向上が進められています。日本結婚相手紹介サービス協議会(JMIC)の折原昭男さんは、ネット系婚活の登場が結婚相談所にとって脅威ではなく、むしろ共存共栄の関係にあると述べています。婚活の選択肢が広がることで、結婚相談所のサービス価値が見直され、業界全体の成長が続いているのです。

こうした取り組みが進む中で、婚活における「期待値コントロール」も重要です。結婚相談所のサービスは、理想の相手に出会う手助けをしてくれる一方で、婚活に過剰な期待を持たせないよう、現実的なサポートを提供することが求められています。



身近な人との恋愛がリスクに?若者がネット経由で出会う理由とは


近年の婚活事情において、若者たちが恋愛対象を選ぶ際に変化が見られます。昔ながらの「友人に紹介される」や「職場で知り合う」という定番の出会い方に対して、今の世代は異なるアプローチを選ぶ傾向が強くなっています。特に身近な人との恋愛に対してリスクを感じる人が増えているのです。

たとえば、都内の私立大学に通う女子大生(19)は、同じ大学の男子学生と恋愛関係にあります。しかし、彼とは共通の友人が一切おらず、偶然の出会いからスタートしたとのことです。新入生歓迎会で知り合い、画像共有アプリ「インスタグラム」での交流がきっかけで仲を深めました。このように、大学生活の忙しさや多くの友人の中で恋愛対象にならないという状況が、むしろ彼に惹かれる要因となっています。身近な友人との恋愛は、別れた後の周囲の目や関係のこじれを心配するあまり避けられる傾向が強いのです。

国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、結婚した夫婦の13.6%がネットを通じて知り合っており、ネットの影響が色濃く反映されています。異性と知り合うきっかけとして、ネットを利用する割合が増えており、特に若い世代ではその傾向が顕著です。実際、異性の交際相手をネットで見つけたという人も増えており、従来の「学校で」や「職場で」の出会いに比べて、ネット経由の出会いが主流となっているのです。

また、千葉県内の大学に通う別の女子大生(20)は、ツイッターで知り合った年上の男性と交際中です。彼女は「親しい間柄の人との恋愛は避けた方がいい」と語り、高校時代に幼なじみとの交際が破局した後、地元での気まずい思いを経験しました。現在の彼とは、ツイッターでのコメントを通じて知り合い、趣味を共有することで意気投合したとのことです。彼女にとって、生活圏外での恋愛の方が、もし別れたときに周囲に迷惑をかける心配が少ないと感じています。

さらに、マッチングアプリ「HOP」が「友達の友達」と出会うサービスを提供していたものの、利用者のニーズに合わず、約1年でサービス終了に至った例もあります。若い世代は、興味や価値観でつながることを重視し、身近な人との恋愛を避ける傾向が強いようです。リクルートブライダル総研の調査でも、近い距離感の人との恋愛に気が引けると答えた割合が高く、職場や学校での恋愛に対するリスクを避けたいという思いが見て取れます。

ネットを通じた出会いが増える一方で、「ゴースティング」という新たなリスクも注目されています。恋愛関係を一方的に断ち切る行為で、古村健太郎准教授はネットでの恋愛が普及する中で、ゴースティングが顕著になっていると指摘しています。ゴースティングは、相手に対して一方的に連絡を絶つ行為で、実生活での人間関係に影響を与えずに交際を終わらせることができる一方で、双方に深い心の傷を残すこともあります。恋愛の終わりには、より明確なコミュニケーションを心がける必要があるでしょう。



中高年婚活の新潮流:未婚・離別の単身者が増加中!長寿社会での出会いの重要性とは?


現在、婚活は若者だけのものではなくなっています。実際、中高年層の婚活が盛り上がりを見せているのです。熟年世代では、未婚や離別を経た単身世帯が増えており、出会いを求める男女が増加しています。

先月末、東京・新宿の結婚相談所「茜会」で開かれたサロンパーティーには、男性68歳以上、女性は年齢制限なしという条件で男女それぞれ9人が参加しました。参加者の中には、63歳から79歳までの女性や、最高齢で84歳の男性が含まれており、年齢に関係なく出会いを求めて集まっていました。テーブルに座り、「プロフィールカード」を交換しながら自己紹介をする形式で、約10分ごとに男性が席を移動する仕組みです。気になる相手には連絡先を交換し、交流を深めます。

介護職の68歳の女性は、5年前に離婚し、一人で過ごす寂しさを感じていました。テレビを見ながら響く自分の笑い声に孤独を感じ、安心感と経済的安定を求めて「茜会」に登録しました。しかし、参加してみると、自慢話を聞かされることが多く、また一部の男性からは財産目当てと疑われることもあり、「この年で我慢したくない」という気持ちが募っています。この日のパーティーでは2組のカップルが成立しましたが、彼女にとって理想的な相手には出会えなかったようです。

中高年婚活の背景には、単身世帯の増加があります。国勢調査によれば、1985年から2020年にかけて、中高年層の未婚や離別が増加しています。人生100年時代を迎え、長い老後の伴侶を求める人が増えているのです。茜会は、戦争で夫を亡くした女性の再婚相手探しから始まった結婚相談所で、現在では交際や結婚の経験がない中高年の方も増えてきたと、同会の川上健太郎さんは語ります。

しかし、中高年の婚活には若者とは異なる悩みもあります。例えば、横浜市の69歳の男性は、妻と死別し、ひとりで過ごす寂しさから婚活を始めましたが、好みの女性から「前の奥さんとの思い出が残る家を売り、新しいマンションを買おう」と提案され、考え込んでしまいました。最終的に、愛着のある家を手放すことができず、現在は結婚を望まない女性と交際を続けています。

また、中高年世代では、パートナーや家族が身近にいないことによる寂しさを感じる人が多いです。長年、中高年のセクシュアリティーについて調査してきた田園調布学園大名誉教授の荒木乳根子さん(81)は、単身男性の方が「寂しさ」や「物足りなさ」を感じる傾向があると指摘しています。特に、肉親や友人との関係が女性ほど密でないことが影響していると考えられます。

中高年の結婚には、古典的な性別役割に基づく「打算的な関係」も見られます。荒木さんの調査によれば、単身者が結婚を望む理由として「精神的な安定」が最も多い一方で、男性は「家事や身の回りの世話」、女性は「経済的基盤の共有」を重視しています。結婚を望まない理由も男女で異なり、女性は「家事や身の回りの世話が負担」と感じ、男性は「経済的問題」を重視しています。

結婚にこだわらなくても、パートナーがいることで「精神的安定」や「生きるエネルギー」を得られると荒木さんは話します。また、身体的な触れ合いや日常的なコミュニケーションが認知症予防に役立つという研究もあります。一方で、中高年層ではセックスレスの夫婦も増えており、身体的な変化にどう対応するかが課題となっています。

高齢者施設での恋愛に対する見方も様々ですが、荒木さんは「結婚という形にこだわらず、この世に一人でも自分を一番に思ってくれる人がいることが幸せなのではないでしょうか」と述べています。



婚活の変遷と未来:15年間の進化と課題を探る


「婚活」という言葉が広まったきっかけは、2008年に出版された書籍『婚活時代』でした。その後15年が経ち、言葉の生みの親である2人の著者が現在の婚活の状況について語ってくださいました。

まず、相模女子大学の大学院特任教授である白河桃子さんは、婚活という言葉がもたらした最大の効果は、結婚を望む人々の存在を社会に明確に伝えたことだと指摘しています。以前は、結婚を希望する人々が支援を必要とすることが広く認識されていませんでしたが、婚活の普及によってそのニーズが可視化され、少子化対策として国や自治体の予算が充てられるようになりました。

しかし、その予算は結婚を促進するための施策に使われる一方で、問題の本質を隠すこともあります。未婚化の進行は、結婚に対する個々の意志だけでなく、男女の賃金格差や長時間労働など、日本社会の構造的な問題に起因しているのです。婚活ビジネスの発展とテクノロジーの進化が、逆に結婚を難しくしている側面もあります。

特にデジタル時代の出会いの場では、運命的な縁を感じることは稀であり、神頼みでの出会いを期待する状況が象徴的です。共働きや家事・育児のモデルを提唱していたにもかかわらず、実際には未だに男女の家事・育児の分担は進んでおらず、働き方の見直しとジェンダーバイアスの解消が求められています。また、夫婦別姓や同性婚といった多様な家族の形が広まることで、結婚に対する閉塞感が和らぐかもしれません。

一方、中央大学教授の山田昌弘さんは、「婚活」という言葉が浸透し、待っているだけでは結婚が難しいという認識が広がったことを評価しています。特に働く女性たちからは、婚活によって結婚できたと感謝されることが増えました。しかし、依然として「男性が声をかける」「女性が声をかけられる」という意識は根強く、プロポーズの大半が男性から行われる現状が続いています。

経済的自立と積極的な恋愛が推奨される一方で、結婚に対するアプローチが経済的安定を重視する方向へと変わってきました。結婚を生存戦略として捉える傾向が強まり、配偶者に求められる条件も「経済的安定」と「協力的なパートナー」が主流になっています。

さらに、若者の恋愛経験には格差が見られ、コミュニケーション力の高いグループと低いグループとの間で二極化が進んでいると指摘しています。日本の結婚難は、1980年代の農村の青年団活動の衰退に起因し、今の若者は金銭的・時間的余裕がなく、将来に対する不安から結婚に踏み出せない状況が続いています。中高年の婚活は盛んになるでしょうが、若者については悲観的な見方が多いようです。

結婚とは何かを考える時が来ているかもしれません。婚活の現状を見ていると、世間の結婚に対するイメージと実態との間にズレを感じることがあります。例えば、晩婚化が進む中で、初婚のピーク年齢は男性27歳、女性26歳とされていますが、30歳を過ぎると市場には同年代が少なくなります。

婚活に関する指南本は女性向けが多いですが、実際には「男余り」の状況もあります。未婚率が高いのは、結婚できない男性が増えたことが大きな要因です。また、IT化が進む一方で、デート商法などのリスクも増えており、結婚観や男女観が時代に合わないと感じることもあります。これからの時代に合わせて、結婚の本質を再考する時期が来ているのかもしれません。





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