2019年参院選の争点!幼保無償化で待機児童は増える?保育士争奪戦の裏側と子育て支援の光と影

2019年7月の参議院選挙を控え、各候補者が熱心に訴えているのが「子育て支援」の拡充です。同年10月からは、消費税増税による財源を活用した「幼児教育・保育の無償化」がいよいよスタートします。これは、3歳から5歳児の利用料が原則無料になり、0歳から2歳児でも住民税非課税世帯なら無料になるという画期的な制度です。

しかし、この喜ばしいはずのニュースの裏側で、ある深刻な懸念が広がっていることをご存じでしょうか。支援の手が厚くなることで、これまで以上に保育のニーズが急増し、結果として「待機児童」がさらに増えてしまうのではないかという不安の声が上がっています。SNS上でも、「お金も大事だけど、まずは預けられる場所を確保してほしい」といった切実な意見が目立っています。

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先行自治体の事例から見える「無償化」の光と影

大阪府守口市では、国に先駆けて2017年4月1日から0歳から5歳児の全面無償化に踏み切りました。かつて家電大手の三洋電機が拠点を置いていた同市は、企業の再編に伴う人口流出に悩まされてきましたが、この施策によって子育て世代の転入が急増しています。実際に、2019年4月までの2年間で若年層の人口が増加し、政策の効果が目に見える形で現れました。

利用者の声を聞くと、これまではパート代の半分が保育料に消えていたという家庭もあり、家計への恩恵は計り知れません。市の試算によれば、子供1人あたり最大320万円もの負担軽減になるそうです。しかし、その一方で大きな課題も露呈しました。無償化を開始した2017年4月には、待機児童数が前年の約2.8倍に膨れ上がってしまったのです。その後、市は必死の受け皿確保に動きました。

同様の状況は兵庫県明石市でも見られます。2016年から第2子以降の無償化を実施した結果、街は活気づきましたが、2019年4月時点での待機児童数は412名に達し、全国ワースト2位という不名誉な記録を残すこととなりました。このように、「安くなるから預けたい」という需要に対して、供給が追いつかないというミスマッチが各地で加速しているのが現状です。

激化する保育士争奪戦と現場の苦悩

待機児童ゼロを実現するために、厚生労働省は2020年度末までに新たに32万人分の受け皿を整備する目標を掲げています。ここで最大の壁となるのが、圧倒的な「保育士不足」です。この計画を達成するには約7万7千人もの新たな保育士が必要とされていますが、その確保の見通しは極めて不透明であると言わざるを得ません。

事態はもはや自治体同士の「保育士争奪戦」へと発展しています。神戸市では新卒保育士に対し、7年間で最大160万円を支給するほか、月額8万2千円の家賃補助を行うなど、破格の条件を提示しました。大阪市にいたっては、遠方からの転入者に旅費やテーマパークの年間パス購入費を補助するという、ユニークながらも必死な策を2019年度から打ち出しています。

こうした状況に対し、専門家からは「財源の豊かな自治体にばかり保育士が集中し、地方でさらに不足が加速する」という懸念の声も上がっています。単なる札束の叩き合いではなく、潜在保育士、つまり資格を持ちながらも現場を離れている方々が復帰しやすい環境づくりや、短時間勤務などの柔軟な働き方の導入が急務であることは間違いありません。

編集部が考える「真の子育て支援」のあり方

私は、今回の「無償化」という旗印は、少子化対策として一定の評価ができると考えています。しかし、ハード面である「施設」やソフト面である「保育士」の確保が追いつかないままアクセルを踏めば、現場が混乱するのは火を見るより明らかです。政治家が選挙で耳触りの良い言葉を並べるだけでなく、現場の処遇改善に踏み込んだ具体策を語るべきでしょう。

保育は単なる「預かり」ではなく、子供たちの人格形成を担うプロフェッショナルの仕事です。彼らが誇りを持って働き続けられる適正な賃金と、無理のない労働環境が整って初めて、親も安心して子供を預けることができます。目先の「無料」という言葉に惑わされず、制度の持続可能性と保育の質をどう守るのか、私たちは厳しい目で見守っていく必要があります。

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