和食の要である「だし」を、手間なく簡単に取れる**「だしパック」が、今、日本の食卓で大きな注目を集めています。カツオや昆布、煮干しといった天然の素材を粉末にして、不織布の小袋に詰めたこの商品は、その手軽さから、忙しい日々を送る方や、料理を始めたばかりの方でも風味豊かな本格的なだしが取れると評判になり、市場規模は拡大の一途をたどっています。
調査会社の富士経済によれば、だしパック市場は右肩上がりの成長を続け、2018年にはついに120億円を突破しました。これはわずか5年間で約3割も市場が拡大した計算になります。この驚異的な成長の背景には、だしに含まれる「うま味」を活用することで、塩分や砂糖を控えめにした薄味でも料理を美味しく仕上げられるという点があります。この特徴が、近年の健康志向の高まりや高齢化の進展に伴う減塩ニーズと見事に合致し、だしパックが単なる時短アイテムに留まらない価値を提供しているのです。まさに、だしパックは現代の食文化にフィットした、理想的な調味料と言えるでしょう。
老舗から大手まで!競争激化で進化する「だしパック」の最前線
この盛り上がりを受け、業界の各社は魅力的な商品を次々と投入しています。例えば、かつお節専門店の老舗であるにんべん(東京・中央)が2018年11月に東武百貨店池袋店内にオープンさせた店舗では、削りたてのかつお節はもちろん、ユズや梅を加えたドレッシング、さらには贈答用のハート形にくりぬいたかつお節シートなど、だしに関連する多彩な商品が並び、その活況ぶりがうかがえます。
中でも売れ筋は、国内産のカツオや昆布などを粉末にして、塩やしょうゆで軽く味付けしただしパック「薫る味だし」です。このだしパックはお湯で煮出すだけで簡単に美味しいだしが取れるだけでなく、袋を破って中身をチャーハンや雑炊の味付けに使うなど、用途の幅広さも人気の秘訣です。実際にSNSなどでは「お湯で煮るだけで、簡単においしいだしが取れる」「分量を測ったり、だし殻をこしたりする手間がないので楽」といった、手軽さや時短効果を絶賛する利用者の声が多く見受けられ、着実にキッチンの定番として浸透している様子がわかります。
だし市場の大手である味の素も、2019年から満を持してだしパック市場に参入しました。2月に発売された「ほんだし 濃厚だし」は、カツオ節にさば節、昆布やシイタケなど6種類の国産素材をブレンドした、同社の「ほんだし」シリーズの中でも「最も濃厚なだしがとれる商品」として自信を見せています。同社は、手軽さにおいては顆粒(かりゅう)タイプ、すなわち粉末状でさっと溶けるタイプの商品に軍配が上がるとしつつも、「特別な日には、ちゃんとだしをとりたいというニーズ」も根強くあると分析し、消費者が顆粒とだしパックを上手に使い分けていると見ています。
減塩トレンドへの対応と広がるだし素材の多様性
だしパックのもう一つの大きな魅力は、減塩への対応力です。だしをしっかり取ることで、塩分摂取量を抑えても料理の満足感を高めることができるため、健康を気遣う層から熱い支持を受けています。この流れを受け、だしメーカーのフタバ(新潟県三条市)は2019年2月、自社ブランド「ON THE UMAMI」に、従来品に比べて食塩相当量を6割から9割も減らした低塩タイプのだしパックを追加しました。同社は「小さいお子様がいるご家庭など、塩分を気にする声が増えていること」に対応するため、食塩を減らした分、素材由来のうま味成分を増量し、味の物足りなさを感じさせない工夫を施しています。
富士経済は、だしパック市場がこのまま好調に推移し、2023年には2018年比で2割増となる144億円規模にまで成長すると予測しています。さらに市場の多様化は素材の面にも表れており、カツオ節や昆布の定番だけでなく、トビウオを乾燥させたアゴ**や鶏、野菜など、様々な素材を活用しただしパックが登場しています。和食の基本である「だし」の楽しみ方が、だしパックの進化によって大きく広がり、日本の食文化を豊かにしていると言えるでしょう。手軽さ、健康志向への対応、そして多様な味の追求が、だしパック市場を牽引する三本柱となっていくに違いありません。
コメント