【天安門事件から30年】経済大国・中国の「デジタル監視社会」と立ち止まった民主化への議論

1989年6月4日、中国の北京にある天安門広場などで、民主化や汚職の根絶を求めて平和的な訴えを行っていた多くの学生たちが、中国軍による武力弾圧によって犠牲となりました。世界中から強い非難を浴びたこの「天安門事件」から、2019年6月4日でちょうど30年という節目を迎えます。

この30年の間に、中国経済は飛躍的な成長を遂げ、国民の政治や社会に対する要求も多様化してきています。しかしながら、中国共産党による一党独裁体制が続く中で、政治改革は進んでおらず、国民が自由に政治的な意見を表明するための道は閉ざされたままといえるでしょう。様々な階層の複雑な利害関係を調整していくべき政治の仕組みが、表面上は見えないところで機能不全に陥っている状況は、非常に深刻だと考えられます。

中国は今こそ、その大きな経済発展に見合った「民主化」のあり方について、真剣に議論すべき時期に来ているのではないでしょうか。この問題に対するSNSでの反響として、「経済発展だけでは真の大国とは言えない」「歴史を隠蔽する姿勢は理解できない」といった、中国の現状に対する懸念や批判的な意見が多く見受けられました。

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「デジタル監視」の強化と進まない政治改革

中国では、1990年代から末端の行政組織のトップである村長などを、複数の候補者から国民一人一票で選ぶ「民主選挙」を実施してきました。当初、共産党はこの制度を徐々により大きな行政単位へと拡大していく方針を示していたのです。しかし、習近平政権が発足してから6年以上が経過しましたが、政治改革を探るような動きは停滞しています。それどころか、直近の憲法改正では国家主席の任期制限が撤廃され、かえって権力の集中が進む結果となりました。さらに、政府による言論の統制や情報の遮断(情報封鎖)も強まる一方です。

特に注目すべきは、最新テクノロジーの活用です。大量のデータである「ビッグデータ」、人間のように学習する技術である「人工知能(AI)」、そして個人の顔を識別する「顔認証」といった技術を駆使したデジタル監視システムが構築されています。これは、統治する側にとって非常に有利な条件を作り出しており、個々人間でやり取りされる情報までもが監視の対象となっているのが現状です。

例えば、世界で広く使われているグーグル、フェイスブック、LINEといった海外発の検索サービスや交流サイト(SNS)は、中国国内では基本的に利用できません。国民は、当局が選別した情報(ニュース)しか受け取ることができなくなっているのです。当然ながら、30年前に起きた天安門事件に関する記事、写真、映像なども見ることができません。世界第2位の経済大国で育った多くの大学生たちは、現代中国史に深く刻まれた数々の重要な事実を知らずにいるというのは、極めて大きな問題であるといえるでしょう。

国際社会の責任と日本の役割

天安門事件の後、中国は西側諸国による制裁措置を受け、国際社会から一時的に孤立しました。その中国を国際社会へと復帰させるための道筋をつけたのは、他ならぬ日本であったという歴史があります。であるならば、日本は今、置き去りにされてきた人権・民主化、そして情報の自由化といった問題についても、中国に対して真剣に取り組むよう要求すべき責任があると考えます。

2019年6月末には、大阪で主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が開催され、中国の習近平国家主席をはじめとする各国首脳が来日する予定です。さらに、同年8月にはフランスで主要7カ国首脳会議(G7サミット)も控えています。日本は、アメリカ合衆国やドイツ連邦共和国などと緊密に連携を取りながら、中国政府に対して、これらの問題に真摯に向き合うよう促す、重要な責任を担っているといえるでしょう。

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