トルコ家電最大手アルチェリク、アジア・アフリカ市場で攻勢!新興国での増産・買収戦略で世界シェア拡大へ

トルコが誇る家電最大手、アルチェリク社が今、世界市場での存在感を一気に高めようとしています。特に、成長著しいアジアとアフリカ地域へ積極的に事業を拡大する戦略が注目を集めているのです。この背景には、同社の主要市場であるトルコ国内の消費低迷と、最大の輸出先である欧州市場の伸び悩みがあります。同社は、より大きな成長の可能性を秘めた新興国市場に活路を見出し、グローバル企業としての地位を固める計画です。

アフリカ大陸では、南アフリカ共和国での事業強化に乗り出しました。2011年に買収した南アの家電最大手、デファイ・アプライアンス社の東部ダーバンにある工場に対し、2019年4月に約9億6,000万円(1億3,000万ランド)を投じる追加投資を実施し、新たな洗濯機の生産ラインを稼働させています。これは、デファイ買収後の総投資額を約12億ランド(当時の為替レートで約88億円)にまで引き上げる大型投資となり、同社のアフリカ市場への強いコミットメントを示すものと言えるでしょう。

アルチェリク社のアフリカ事業を担当するポラット・シェン最高財務責任者(CFO)は、サハラ砂漠以南の地域での売上高を、現在の3億ドルから3年後には5億ドルへと大幅に引き上げるという、非常に意欲的な目標を掲げています。私見ですが、この大胆な増産と投資は、アフリカ大陸における中間層の増加と生活水準の向上という大きなトレンドを見越した、先見の明がある戦略だと評価できます。家電製品は生活必需品であり、新興国での需要爆発は確実視されるでしょう。

一方、アジア市場でもその勢いは止まりません。アルチェリク社のハカン・ブルグルル最高経営責任者(CEO)は、日本経済新聞の取材に対し、特に東南アジア諸国連合(ASEAN)地域での企業買収を積極的に検討する考えを明らかにしました。フィリピン、ベトナム、インドネシアといった国々をターゲットとし、アジア全体での売上高を2023年から2024年までに15億ドルにまで引き上げるという、野心的な計画を打ち出しています。これは、同社がアジア市場を単なる生産拠点としてではなく、巨大な消費地として捉えている証拠だと言えるでしょう。

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アジア市場の鍵を握る「バングラデシュ買収」のインパクト

そのアジア戦略の具体的な動きとして、2019年3月にはバングラデシュの「シンガー・バングラデシュ」の親会社を7,500万ドル(約81億円)で買収すると発表しています。シンガー・バングラデシュ社は、アメリカの有名ブランド「シンガー」とのライセンス契約に基づき、家電製品やテレビの製造販売を手掛けている企業です。この買収は、アルチェリク社にとって、成長著しい南アジア地域での大きな足がかりとなるでしょう。

アルチェリク社は、これまでにもパキスタンでの現地メーカー買収や、インドの有力財閥であるタタ・グループ系の企業との合弁事業を展開するなど、アジアでの地盤を着実に固めてきました。さらに、タイに冷蔵庫、中国に洗濯機の生産拠点を保有しています。ブルグルルCEOが語るように、「世界の家電産業における今後10年間の成長の65%は、中国、インド、パキスタン、そしてバングラデシュの4カ国が占める」という見通しは、同社のアジア戦略の正当性を裏付けるものでしょう。この発言はSNSでも大きな話題となり、「トルコの企業がそこまでアジアの成長を見込んでいるのか」と驚きの声が多く上がっています。

アルチェリク社は、トルコの最大財閥コチ・ホールディングスの傘下にあり、欧州でも知名度の高い「白物家電」、すなわち冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどの大型家電製品のメーカーとして知られています。世界146の国と地域で製品を販売しており、トルコを含む9カ国で合計23の工場を運営するグローバル企業です。特に、同社のグローバルブランドである「ベコ(Beko)」は、激戦区である英国市場でトップシェアを獲得するなど、その製品力とブランド力は折り紙付きでしょう。

2018年12月期の売上高は約270億リラ(約5,000億円)を計上しており、すでに巨大な企業規模を誇ります。しかし、この度のアジア・アフリカへの積極的な攻勢は、彼らが現状に満足せず、真のグローバルリーダーを目指していることの表れです。白物家電の市場は、人々の生活に密着しているからこそ、人口が増え、経済が発展する新興国での爆発的な需要が見込まれます。アルチェリク社のこの大胆な戦略は、間違いなく世界の家電業界の勢力図を塗り替える可能性を秘めていると言えるでしょう。

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