2019年07月09日、ワシントンで開催された輸出規制に関する会議にて、ウィルバー・ロス米商務長官は世界中が注目する中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への対応について重要な方針を明らかにしました。トランプ大統領が先月末の米中首脳会談で制裁緩和を表明して以来、実務を担う商務省が具体的な説明を行うのは今回が初めてのケースとなります。しかし、その内容は期待された全面解禁とは程遠く、依然として厳しい制限が維持される見通しです。
ロス長官が強調したのは、ファーウェイを「エンティティー・リスト(EL)」に留め置くという毅然とした姿勢でしょう。このリストは、アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された外国企業などを列挙した「禁輸対象リスト」を指します。ここに掲載されると、米国製品をその企業へ輸出する際には商務省の厳格な許可が必要不可欠となり、申請は原則として却下されるという、ビジネスにおいては極めて高い障壁が立ちはだかる仕組みです。
一方で、ロス氏は「米国の安全保障に脅威をもたらさないと判断される場合に限り、輸出の許可を出す」とも明言しています。この発言の背景には、ファーウェイとの取引を遮断されたことで、米国企業が手にすべき利益が他国の競合他社に流出してしまうことへの強い懸念があるはずです。つまり、自国経済へのダメージを最小限に食い止めつつ、ハイテク分野での覇権争いにおいて国家の安全をいかに守り抜くかという、非常に難しい舵取りを迫られている状況が伺えます。
SNS上では今回の発表を受け、「結局何が売れて何がダメなのか、基準が曖昧すぎる」といった困惑の声が広がっています。市場関係者の間でも、汎用品(一般的に普及している市販品)なら許されるという観測があるものの、商務省からの明確な定義は示されていません。ハイテク産業のサプライチェーンが複雑に絡み合う現代において、この「不透明さ」そのものが、企業の投資判断や事業計画に深刻な影を落とすリスクを孕んでいると言わざるを得ないでしょう。
編集者の視点から言えば、今回の措置はトランプ政権が得意とする「ディール(交渉)」の一環である可能性が高いと感じます。安保上のリスクを盾に取りつつ、輸出許可というカードを小出しにすることで、中国側から貿易交渉でさらなる譲歩を引き出そうとする意図が見え隠れします。しかし、あまりに曖昧な基準は自由貿易の予見可能性を損なうものであり、長期的には米国の技術革新のスピードを鈍化させる、諸刃の剣になる恐れもあるのではないでしょうか。
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