国際社会に激震が走っています。アメリカのドナルド・トランプ大統領は、2019年07月08日、自身の公式ツイッターにおいて衝撃的な投稿を行いました。その内容は、自分を「無能」と酷評したイギリスのキム・ダロック駐米大使を、今後は一切「相手にしない」という絶縁宣言だったのです。これは、事実上のペルソナ・ノン・グラータ(好ましくない人物)宣告に近い厳しい姿勢といえるでしょう。
事の発端は、ダロック大使がイギリス本国へ送った機密公電が外部に流出したことでした。その文書の中で、大使はトランプ政権を「不器用で無能」と評し、さらには政権運営の「機能不全」までも指摘していたと報じられています。これに対し、トランプ大統領は「彼のことはよく知らないが、米国内で評判も良くない」と即座に反撃を開始しました。SNS上では「本音すぎる」「外交機密が漏れること自体が恐怖」といった驚きの声が溢れています。
トランプ大統領の怒りの矛先は、当時退陣を間近に控えていたメイ英首相にも向けられました。大統領は、イギリスの欧州連合(EU)離脱、いわゆる「ブレグジット」を巡る混乱を「ひどい惨状だ」と断じ、自身の助言を無視したメイ氏のやり方を痛烈に批判しています。「英国にとっての朗報は、もうすぐ新首相を迎えることだ」という皮肉たっぷりの言葉からは、現在のイギリス政権に対する不信感が隠しきれません。
外交のプロに求められる役割と漏洩が生んだ深刻なジレンマ
ここで専門的な背景を解説しましょう。各国の大使には、駐在先の政治状況を本国へ「率直に」報告する義務があります。これは外交官の極めて重要な職務であり、本来であれば機密が守られることが大前提です。英首相官邸の報道官も、2019年07月時点の会見で「大使は客観的な判断を報告する必要がある」と述べ、ダロック大使を擁護しつつも、流出自体は遺憾であるという苦しい立場を表明しました。
今回の騒動は、単なる個人間の衝突に留まりません。イギリスにとっては、EU離脱後の経済戦略の柱として、アメリカとの自由貿易協定(FTA)締結を熱望しているという事情があります。FTAとは、特定の国同士で関税を撤廃し、自由にモノやサービスをやり取りする約束のことです。この大事なパートナーを怒らせることは、国家の命運を左右しかねない重大なリスクとなるため、英政府は火消しに躍起となっています。
個人的な見解を述べさせていただくと、今回のリークは極めて政治的な意図を感じざるを得ません。イギリス国内では次期首相の座を巡る争いが激化しており、親EU派とされるダロック大使の失脚を狙った内部の動きではないかという憶測も飛び交っています。外交官が真実を報告できなくなるような状況は、結果として国家の判断を誤らせる可能性があり、今回の情報漏洩がもたらす実害は計り知れないでしょう。
今後の注目点は、イギリスがトランプ大統領の圧力に屈して大使を更迭するかどうかです。もし解任すれば「アメリカの言いなり」との批判を免れず、維持すれば米英関係の冷え込みが長期化するという、まさに進退窮まった状況にあります。2019年07月10日現在、イギリス政府は原因究明を急ぐ姿勢を見せていますが、この外交上の火種が次期首相選びにどのような影響を及ぼすのか、世界中が固唾を飲んで見守っています。
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