2019年6月3日、金融市場に激震が走る発言が飛び出しました。アメリカのセントルイス連邦準備銀行(FRB)のブラード総裁が、シカゴでの講演において、「米経済は減速懸念が強まっており、近く利下げが正当化されうる」と述べたのです。これは、アメリカの中央銀行制度の最高意思決定機関であるFRBの高官として、今年に入ってからの利上げ休止から一転、早期の利下げの可能性に言及する初めてのケースであり、その重要性は計り知れません。
FRBは、経済の過熱を抑えたり、逆に景気を下支えしたりするために、政策金利の操作を行っています。この政策金利を「下げること」が利下げです。ブラード総裁の発言の背景には、企業の景況感(企業活動の状況に対する見方や感じ方)が弱まりつつある現状があります。FRB内部では、景気後退を防ぐための「予防的な利下げ」を模索する動きがあるとも報じられており、クラリダFRB副議長もこの考えに言及しています。
特にブラード総裁は、金融政策を決定する連邦公開市場委員会(FOMC)において、2019年中に投票権を持つメンバーの一人です。その発言は市場に大きな影響を与え、先物市場では年内の利下げを予測する割合が98%という高水準にまで跳ね上がりました。さらに、6月中旬に予定されている次回の会合でさえ、37.5%の割合で利下げが織り込まれる状況となっています。
これは、市場がFRBに対して利下げを強く催促している「催促相場」の様相を呈していると言えるでしょう。市場の熱い視線が注がれる中、翌日の6月4日にはパウエルFRB議長が講演する予定です。ブラード総裁の発言が先導する形で、議長が今後の金融政策の見通しにどこまで踏み込むのかが、最大の焦点となっています。
ブラード総裁は、一般的に金融引き締め(金利を上げて景気の過熱を抑える政策)に慎重な姿勢をとる「ハト派」として知られています。今回の講演では、「国際的な貿易制度の不確実性で、景気減速のリスクが高まっている」と指摘しました。これは、当時のトランプ米政権が打ち出していた中国やメキシコに対する関税政策などの貿易摩擦が、世界経済の足かせになることへの強い懸念を表明していると言えるでしょう。
私自身の意見としても、貿易摩擦によって企業が投資を控えたり、サプライチェーン(供給網)が混乱したりすれば、景気が下振れするリスクは格段に高まります。そうした中で、FRBが先手を打って利下げを検討することは、経済の安定化に向けて非常に賢明な判断であると考えます。
また、景気後退のサインとされる現象の一つに、長短金利の利回り差の逆転があります。これは、短期の金利が長期の金利よりも高くなる異常な状態を指します。ブラード総裁は、この現象も踏まえ、「現在の政策金利が不適当に高いことを示唆している」と警鐘を鳴らしました。さらに、物価の上昇率(インフレ率)が目標水準に届かず停滞していることにも懸念を示し、これらの理由から、「景気減速懸念への備えとして、金利引き下げが近く正当化される可能性がある」と断言されたのです。
SNS上では、この利下げ観測の急浮上に対し、「いよいよ景気後退が現実味を帯びてきたのか」と不安視する声がある一方、「予防的利下げで株価が持ち直すかも」と期待するコメントも多く見受けられます。今後のFRBの動向は、アメリカ経済だけでなく、世界中の金融市場に大きな影響を与えるでしょうから、私たちはその一挙手一投足から目を離せない状況です。
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