2019年7月11日に発表された今夏のボーナス調査の最終集計結果は、働く多くの人々にとって少し寂しいニュースとなりました。全産業の平均支給額は前年と比較して0.37%減少しており、これは実に7年ぶりのマイナス成長です。アベノミクスによる景気回復の実感が続いていた中で、久しぶりの前年割れという現実は、多くのビジネスパーソンの関心を集めています。
SNS上では「給与明細を見て驚いた」「期待していたほどではなかった」といった落胆の声が目立つ一方で、一部の好調な業界からは喜びの報告も上がっています。このように、全体としてはわずかな減少傾向にあるものの、実際には職種や業界によって懐事情が大きく異なっているのが今夏の特徴です。では、なぜこのような格差が生まれてしまったのか、その背景を深掘りしてみましょう。
米中貿易摩擦が直撃した半導体業界の苦境
今回、最も大きなブレーキとなったのは、日本の看板産業である製造業です。製造業のボーナスが前年を下回るのは2年ぶりのことで、特に半導体関連企業の落ち込みが鮮明となりました。その象徴とも言えるのが、業界大手の東京エレクトロンなどの支給額減少です。この背景には、2018年から激化している「米中貿易摩擦」という大きな国際情勢の荒波が影を落としています。
米中貿易摩擦とは、世界経済の2大巨頭であるアメリカと中国が、互いの輸入品に関税をかけ合うなどして対立を深める状況を指します。これにより、ハイテク製品の需要が急激に冷え込み、結果として半導体の製造装置を作る企業の業績が一時的に停滞してしまいました。グローバルな政治の駆け引きが、私たちの手元のボーナス袋にまでダイレクトに影響を与える時代になったと言えるでしょう。
編集者としての視点で見れば、製造業が日本経済の屋台骨である以上、この分野の冷え込みは決して看過できません。しかし、これはあくまで世界的なサイクルの一環であり、技術革新が止まるわけではありません。現在は「踊り場」にいる状況ですが、次世代通信規格の普及などを見据えれば、耐え忍ぶ時期にあると捉えるのが健全ではないかと私は考えています。
建設・工作機械は活況!業種間でくっきり分かれた明暗
一方で、すべての業界が落ち込んでいるわけではありません。国内の旺盛な需要を背景にした建設資材業界や、受注が絶好調な工作機械メーカーなどは、前年を大きく上回る支給額を維持しています。いわゆる「内需」と呼ばれる国内向けのビジネスが、外需の不透明感を補う形で踏ん張っている姿が浮かび上がってきました。このように、働く場所によって景況感が全く異なるのが2019年夏の現実なのです。
「工作機械」とは、金属を削ったり穴を開けたりして、自動車やスマートフォンの部品などを作るための「機械を作る機械」のことを言います。この分野が好調であるということは、将来の生産に向けた投資自体はまだ力強く動いている証拠でしょう。ネット上の反響でも「自分の業界は増えていたので安心した」といった投稿が見られ、一律の不況ではないことが分かります。
結局のところ、2019年夏のボーナス戦線は、世界情勢の不透明さに振り回された形となりました。私は、こうした局面だからこそ、目先の金額の増減に一喜一憂するのではなく、自分のいる業界が世界経済の中でどのような位置にあり、どのようなリスクを抱えているのかを見極める視点を持つことが重要だと感じています。この夏の結果は、まさに日本経済の縮図を映し出しているのではないでしょうか。
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