2019年6月4日、国賓としてイギリスを訪問中のドナルド・トランプ米大統領に対し、イギリス各地で大規模な抗議デモが展開され、国民の根強い反感が改めて浮き彫りとなりました。直前の日本訪問では厚遇を受ける場面も見られましたが、大西洋を越えたイギリスでは、その様相が一変していると言えるでしょう。特に首都ロンドンでは、議会前の広場に、トランプ氏を揶揄する巨大な風船「トランプ・ベビー」が昨年に引き続き姿を現し、強烈な皮肉を込めた国民の意思を象徴していました。
ロンドン市内を行進した大勢の市民は、「ダンプ・トランプ!(トランプを投げ捨てろ!)」と叫びながら、多岐にわたるプラカードを掲げていました。彼らがトランプ大統領に反感を抱く理由は一つではありません。女性を軽視するような発言や、地球環境に対する軽視の姿勢、そして人種差別的と受け取られかねない言動など、市民が抱く不満は多岐にわたります。こうした市民の行動は、トランプ政権が推進する「アメリカ・ファースト」の政策が、同盟国であるはずのイギリス国民の間で大きな亀裂を生んでいることを示しているのではないでしょうか。
現場で声を上げたロンドン在住のルーシー・モーガンさん(43)は、「トランプ氏が世界を、そしてアメリカ国内をも分断してしまっている」と強く訴えていました。彼女は、このようなリーダーが率いるアメリカと、イギリスが「特別な関係」を維持する必要はない、とまで主張しています。この発言は、単なる一市民の意見に留まらず、多くのイギリス国民が感じている、トランプ大統領の政治手法やパーソナリティに対する根深い不信感を代弁していると考えられます。
この反トランプデモの様子は、SNS上でも大きな反響を呼んでいます。特に「トランプ・ベビー」の画像や、デモ参加者のユニークなプラカードの写真は瞬く間に拡散され、「イギリス国民ははっきりと意思表示した」といった賛同の声や、「なぜ国賓として迎えるのか理解できない」といった政府への批判も見受けられました。一方で、「一部の過激な声に過ぎない」といった冷ややかな見方もあり、デモに対する評価は分かれている状況ですが、少なくともトランプ大統領の存在が、イギリス社会に大きな議論を巻き起こしているのは明白です。
編集者として私見を述べさせていただきますと、イギリスは歴史的にもリベラルな価値観が強く、特に人権や環境問題に対する意識が高い国です。トランプ大統領の政治スタイルは、こうしたイギリスの国民性と真っ向から対立していると言えるでしょう。日米関係とはまた違った複雑な感情が、長年の同盟国である英米間に横たわっていることが、このデモの規模と熱狂から読み取れるのです。彼の訪問は、両国の「特別な関係」を再確認する機会となるどころか、かえって国民感情の隔たりを露呈させる結果となったのではないでしょうか。
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