【社会保険労務士が解説】国民年金保険料が「払えない」時も安心!全額免除でも将来年金半額受給のチャンスと申請の極意

2019年6月5日の記事で、社会保険労務士の井戸美枝さんが、国民年金保険料の納付が困難になった場合の重要な対処法について解説されています。自営業者やフリーランスの方など、国民年金の「第1号被保険者」にとって、収入の減少や失業といった経済的な理由で保険料の支払いが厳しくなる事態は決して珍しくありません。しかし、そのような状況に直面しても、滞納という最悪の選択を避けられる公的なセーフティネットが存在するのです。

井戸美枝さんは、保険料の支払いが難しい場合は、まず**「免除制度」**の利用を検討するよう強く推奨されています。これは、経済的な事情がある場合に、国民年金保険料の納付が一部または全額免除される制度で、お住まいの市区町村役場への申請が必須となります。免除が認められれば、納付額は軽くなりますし、何よりも重要なのは、免除された期間も老齢基礎年金の「受給資格期間」にはカウントされるという点でしょう。

免除制度の最大の魅力は、仮に保険料が全額免除されたとしても、将来受け取れる年金額が「全額納付した場合の年金額の半分」は確保されるという点です。つまり、未納や滞納をしてしまうと将来の年金受給額がゼロになる可能性があるのに対し、この制度を活用すれば最低限の年金は保障される仕組みになっていると言えます。この事実は、「払えないから諦める」という思考を「まずは申請して将来に備える」という前向きな行動へと変える、非常に強力な動機付けになるのではないでしょうか。

免除の可否は、原則として前年の所得水準に基づいて審査されます。例えば、単身者の場合、年収から各種控除を差し引いた「所得」が57万円以内であれば、全額免除の対象となる可能性が高いようです。また、審査では本人の所得だけでなく、配偶者や世帯主といった、その世帯で最も所得の高い人も審査の対象となります。ただし、本人が失業している場合には、配偶者や世帯主のうち所得の高い方が審査の対象となるなど、状況に応じた審査基準が適用されますので、詳細については市区町村の窓口で確認することが肝要です。

私が特に重要だと感じるのは、国民年金保険料を滞納してしまうと、老齢年金だけでなく、万が一の時に生活を支える**「障害年金」や「遺族年金」**といった、より緊急性の高い年金までもが受け取れなくなるおそれがあるという警告です。免除の申請をしておけば、これらの年金は受給できますが、申請を怠ると受給資格を失う可能性があるのです。経済的に苦しい時こそ、いざという時の保障を確保しておくことが、生活再建のための第一歩になるのではないでしょうか。保険料の支払いが困難になった場合は、すぐに市区町村の窓口に相談することが、ご自身の、そしてご家族の将来を守る賢明な判断だと言えるでしょう。

また、もしすでに保険料を滞納してしまっている場合でも、納付期限から2年1ヶ月以内であれば、遡って免除の申請が可能ですので、諦める必要はありません。さらに、免除された期間の保険料は、後から10年以内であれば**「追納」**することができ、これによって将来受け取れる年金額を増やすことが可能です。現在の生活が落ち着いた後に、将来の年金受給額をアップさせるための道筋が用意されているのは、非常にありがたい仕組みです。

加えて、2019年4月からは、第1号被保険者の女性を対象とした**「産前産後の保険料免除制度」**が開始されました。この制度は、出産を控える女性に対して産前産後の期間の保険料を全額免除するものであり、他の免除制度とは異なり、免除されても将来受け取れる年金額が減ることは一切ありません。この制度は、子育て世代の経済的負担を軽減し、女性が安心して出産・子育てができる環境を整備するための、国からの強力な支援策だと言えるでしょう。子育て支援と年金受給権の保護を両立させる、画期的な制度の導入は高く評価されるべきです。

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