「物言う株主」は本当に“敵”なのか?2019年、企業が知るべきアクティビストとの「建設的な関係」

かつてヘッジファンドやプライベート・エクイティ(PE)・ファンドと聞けば、日本の企業社会では「空売りファンド」「ハゲタカファンド」といった忌み嫌われる呼称で語られる時代がありました。投資家向け広報(IR)の現場では、彼らとの面談は「もっての外」とされ、ほとんどタブー視されていたのが実情でしょう。しかし、それから約20年の間に、その状況は劇的に変化しています。現在、単にヘッジファンドやPEという理由だけで面談を拒否する企業は、極めて少なくなっているのです。

この20年間で、特に日本の企業統治の指針であるコーポレートガバナンス・コードと、機関投資家のあるべき行動原則を示したスチュワードシップ・コードが導入されて以降、企業による投資家分析は深く進みました。これにより、個別のファンドが持つ投資手法、投資の時間軸、そしてリターンの目標といった点について、企業側の理解が深まったと言えます。また、ヘッジファンドやPE側も日本企業や日本社会についての知識を深め、確かな投資実績を残して評価される事例が増え、社会やメディアによる認知度も向上しました。

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「アクティビスト=敵」という固定観念を捨て去る時

しかしながら、その一方で、「アクティビスト」、つまり物言う投資家という言葉を聞くと、依然として多くの企業が身構えてしまう現状があります。彼らの投資の視点、手法、時間軸などは実に千差万別であるにもかかわらず、その全てをひとまとめにして「アクティビスト=敵」と捉えるのは、果たして賢明な考え方なのでしょうか。筆者もこの考えには大いに賛同するものです。

そもそも、2019年5月8日現在で248社がスチュワードシップ・コードを受け入れている状況を鑑みれば、機関投資家はすべて、原則として**「物を言わざるを得ない投資家」になったと解釈できるでしょう。投資先企業の持続的な成長を促し、中長期的な企業価値の向上を図ることが、今や機関投資家の責務となっているからです。だからこそ、アクティビストを頭ごなしに否定するのではなく、その本質を見極めることが重要になります。

企業価値拡大につながる提案には真摯に向き合う姿勢が肝要

筆者は、物言う投資家の主張を何でもかんでも受け入れるべきだと主張しているわけではありません。そうではなく、たとえ耳障りに感じる意見であったとしても、企業の根幹を突き、企業価値の拡大に資する提案であれば、まずは真摯に検討する姿勢が求められます。いたずらに勝ち負けにこだわるのではなく、受け入れるべき提案は素直に取り入れるという柔軟な対応が、企業成長の鍵を握るでしょう。

さらに一歩進んで、企業と投資家が経営理念や企業価値の評価、そして時間軸といった点を共有できるのであれば、敵対するのではなく「建設的=コンストラクティブ」に物を言う投資家、すなわちコンストラクティビスト**と共に、共通のゴールを目指すという選択肢も十分あり得るのではないでしょうか。UBS証券の上席執行役員である朔 慶典氏も指摘するように、「アクティビスト」というレッテルに振り回されることなく、彼らの提案の「本質」を見極める時が、まさに今、訪れていると言えるでしょう。

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