強面(こわもて)のチンピラ役から、人情味あふれる気のいい兄ちゃん役まで、スクリーンに登場するだけで作品全体をピリッと引き締め、独特の存在感を放つ俳優、渋川清彦(しぶかわきよひこ)さんが今、映画界で引っ張りだこの状態が続いています。特に2019年は、主演作を含む話題作への出演が相次いでいるのです。
そんな渋川さんが主演を務めたコメディー映画『柴公園』が、2019年6月14日に公開されます。この作品は、3人のおじさんが、それぞれ飼っている柴犬(しばいぬ)と一緒に騒動を巻き起こすという、癒やしと笑いに満ちた物語です。互いの本名を一切知らないまま、愛犬の名前のあとに「パパ」を付けて呼び合うというシュールな設定で、公園のベンチで繰り広げられる「どうでもいい無駄話」に興じる姿が描かれます。
渋川さんは、この独特の関係性に「3人とも何かを抱えていて、その欠けている部分を犬の存在が埋めているからこそ関係が成立していると感じました。そこにこそ、真のリアリティーがあるのです」と共感を示していらっしゃいます。ただし、その「ゆるい」会話劇を演じるにあたっては、大変なご苦労もあったようです。「信じられないほどの大量のセリフを覚えるのに、ただただ精一杯でした」と、撮影当時を振り返っていらっしゃいました。
この『柴公園』は、ドラマ版の放送時からもSNS上で「ずっと見てられる」「癒される」といった好意的な反響が多数寄せられており、「動物(犬)と働き盛りの男性(おじさん)の組み合わせから生まれる違和感が、まさかこんなにも心に響くドラマになるとは」と、視聴者の心を鷲掴みにしています。映画化によって、さらに多くの方がこの「ゆるくて深い」世界観に魅了されるに違いありません。
🎬多忙を極める2019年!なぜ彼はこれほど監督たちに愛されるのか
渋川さんの活躍ぶりは驚くほどで、昨年は出演した映画がなんと14本にも上っています。そして、2019年もその勢いは衰えません。阪本順治監督のヒューマンドラマ『半世界』(2019年2月15日公開)をはじめ、『新宿タイガー』(2019年3月22日公開)や『WE ARE LITTLE ZOMBIES』(2019年6月14日公開)、さらには『閉鎖病棟―それぞれの朝―』(2019年11月1日公開)など、すでに話題作が目白押しとなっています。
ベテラン監督から新進気鋭(しんしんきえい)の監督まで、ジャンルを問わず、今最も多くの映画監督から「この俳優を使いたい」と熱望されている存在と言っても過言ではありません。この人気の秘密についてご本人に尋ねてみると、「なぜなんでしょうね? うーん」と、首を傾(かし)げて真剣に考え込む姿が見受けられました。この気取らない、飾らない姿勢こそが、渋川さんの持つ大きな魅力の一つでしょう。
1974年、群馬県渋川市でお生まれになった渋川さんは、もともとはミュージシャンを目指していらっしゃいました。しかし、ある時、米国の写真家との出会いをきっかけにファッションモデルに転身し、その後、俳優業へと活動の場を移されました。そして、俳優としての出演依頼は「ほぼ断らない」というスタンスを貫き、依頼が来た順番で次々と撮影に臨んでいるそうです。
「びっちり役づくりをしたり、何か一つのことを突き詰めたりという性格ではないんです。どちらかというとストイック(禁欲的)とは逆で、正直、役者としての欲もないんですよ」と、自然体であることを強調されていました。私は、この「欲がない」という言葉にこそ、渋川さんの真髄(しんずい)があると考えます。型にはまらないからこそ、監督が求めるどんな役柄にもスッと入り込める柔軟性があり、それが多様な作品で重宝される理由なのではないでしょうか。
🏍️芸名のルーツと素顔を垣間見る地元愛
渋川という芸名は、ご自身の故郷である群馬県渋川市の地名から取られています。そして、その地元への愛着は深く、「お盆や正月、連休といったまとまった休みがあれば、仕事がない限りちょくちょく帰っているんですよ」と明かされました。帰省した際の楽しみは、地元の友人たちとバイクに乗ってツーリングに出かけることだそうです。
渋川市は、温泉地などの観光名所としても知られていますが、渋川さんにとっての最大の魅力は「地元の人たちの人柄」にあるとのことです。最後に、俳優業について「この仕事は本当に難しいものだと感じています。ほどよいペースで、無理なく続けられればそれで十分です」と、穏やかな笑顔で語るその姿は、一見すると不器用そうに見えながらも、芯の通った「渋川清彦」という俳優の魅力を雄弁に物語っているように感じます。
コメント