日本の医療体制が、2019年7月15日、大きな転換点を迎えようとしています。厚生労働省は、全国に点在する公立病院の再編や統合を国が主導する方針を固めました。これまで病院の在り方は都道府県などの自治体が主体となって検討されてきましたが、改革の足取りが重い現状を打破するため、国が直接メスを入れるという異例の事態となっています。
今回の改革が急がれる背景には、膨れ上がる医療費の抑制と、地域ごとに過剰となっている「病床(ベッド数)」の最適化という切実な問題があります。本来、自治体が運営する公立病院や日本赤十字社などの公的病院は、採算の取れにくい過疎地での医療や救急、災害対応、あるいはがんや脳卒中といった高度な専門医療を担うのが本来の役割とされています。
しかし、実態は理想とは乖離しているようです。日本医師会総合政策研究機構の調査によれば、全国にある350の医療圏のうち、なんと約9割で公立・公的病院と民間病院が同じようなサービスを提供し、競合状態にあります。公立病院には年間5000億円を超える公費が投入されていますが、中には稼働率が50%を割り込んでいる施設も存在しています。
SNS上では「地元の病院がなくなると困る」といった不安の声が上がる一方で、「赤字を垂れ流して民間を圧迫するのはおかしい」「本当に必要な医療に税金を使ってほしい」という厳しい意見も目立ちます。利便性と効率性の間で揺れる国民の関心は非常に高く、今回の厚労省の踏み込んだ姿勢は、ネット上でも大きな議論を巻き起こしているのです。
2020年秋に向けた再編のシナリオと「重点地域」の行方
厚労省は今後、全国の病院の診療実績を詳細に分析する予定です。もし、その病院の実績が乏しく、近隣の民間病院で十分に代わりが務まると判断された場合、「再編統合の議論が必要な病院」として実名が公表されることになります。これは対象となる病院にとっては、非常に厳しい突きつけになると予想されるでしょう。
さらに政府は、2019年の夏までには十数カ所の「重点地域」を指定する方針を打ち出しています。ここで言う「重点地域」とは、特に優先して改革を進めるべきエリアのことで、厚労省の担当者が地元の協議に直接加わります。国が具体的な助言を行うことで、停滞していた議論を一気に加速させ、2020年秋を目途に具体的な再編案をまとめる計画です。
私自身の見解としては、この改革は「痛みを伴うが必要不可欠な手術」であると感じます。すべての病院を現状維持することは、結果として日本の医療システム全体を沈没させかねません。ただし、単なる数字上の効率化に終始せず、移動手段が限られる高齢者などの弱者が医療難民にならないような、血の通ったグランドデザインを描くことが不可欠です。
公立病院が本来担うべき「最後の砦」としての機能を強化し、民間と役割を分担する「垂直分業」が進めば、より質の高い医療が受けられるようになるはずです。2019年7月15日に示されたこの方針が、数年後の日本で「あの時が変わるきっかけだった」と評価されるよう、地域住民を含めた建設的な対話が今こそ求められています。
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