2019年も半分を過ぎましたが、電子部品業界には今、非常に冷たく厳しい風が吹き荒れています。かつてないほど盛り上がった「メモリバブル」は完全に影を潜め、市場全体に先行きの見えない不透明感が漂っているのが現状です。世界的なIT大手によるデータセンターへの投資が抑制され、私たちの身近なスマートフォンも買い替えサイクルが長期化していることが、この苦境に拍車をかけています。
中でも大きな打撃を受けているのが、パソコンやスマホの動作を支える主記憶装置である「DRAM(ディーラム)」です。2019年1月以降、その取引価格は坂道を転げ落ちるように下がり続けています。指標となる製品の2019年6月時点の大口価格は、半年前と比較してなんと30%以上も暴落しました。SNS上では「自作PCを安く組めるのは嬉しいけれど、メーカーの経営が心配だ」といった、安さを喜びつつも業界の体力を案じる声が散見されます。
限界を超える値下げ競争と積み重なる政治的リスク
写真や動画などのデータを保存する役割を担う「NAND(ナンド)型フラッシュメモリ」も、同様に過酷な現実に直面しています。通常、この業界では1年で3割程度の下落であれば許容範囲とされますが、今回はわずか半年でその水準まで価格が落ち込みました。この異常な速度には、現場から「メーカーが耐えられる限界を超えている」という悲痛な叫びが漏れており、韓国のサムスン電子が直近の四半期で赤字に転落したという見方も強まっているようです。
液晶パネルの市場もまた、深い霧の中にあります。大型テレビに使われる55型や、汎用性の高い32型の製品も、前の月と比較してさらに価格が一段と下がりました。背景には、長期化する米中貿易戦争の影響で中国国内の景気が急速に冷え込んでいる事実があります。バックライトなどが付く前の半製品である「オープンセル」の状態であっても、もはや利益を出すのが困難なほどの価格競争が繰り広げられているのです。
こうした需給の乱れに加え、2019年7月4日から始まった日本政府による韓国への輸出規制強化が、さらなる混乱を招いています。半導体の製造に欠かせない重要な材料の審査が厳格になったことで、韓国の主要メーカーが減産を余儀なくされる可能性が出てきました。SNSでは「ついにハイテク分野でも国家間の対立が表面化した」と大きな話題になっており、グローバルな供給網への依存が露呈した形と言えるでしょう。
編集者としての視点では、現在の価格下落は消費者にとって一時的な恩恵があるものの、中長期的な技術革新を阻害しかねない危うさを秘めていると感じます。メーカーの収益が悪化すれば、次世代技術への投資が鈍り、結果として未来のデバイスの進化が遅れることになりかねません。私たちは安さを享受する一方で、この複雑に絡み合った世界情勢が、いかに私たちの生活の基盤を揺るがしているかに目を向けるべきではないでしょうか。
2019年6月末の米中首脳会談により貿易協議は再開されましたが、制裁緩和の詳細などは依然として不透明なままです。2019年下半期、メモリ価格が下げ止まって安定に向かうのか、あるいは政治リスクに翻弄されてさらなる混迷を極めるのか、一刻も目が離せない状況が続きます。私たちは今、まさにハイテク産業の大きな歴史的転換点に立ち会っているのかもしれません。
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