2019年07月17日、日本の地方ビジネスに新たな光が差し込んでいます。人口減少によって地域市場が縮小し、従来の「地産地消」だけでは限界が見え始めている今、私たちはどう生き残るべきでしょうか。家業のイノベーション支援を行う藻谷ゆかり氏は、大都市の消費者を地方へ呼び込む「地産外招」こそが、これからの稼ぐ鍵であると熱く語ります。SNSの普及により、どんなに離れた場所にいても消費者と直接つながれる時代が到来しているのです。
藻谷氏は、ハーバード大学でMBAを取得した後に起業を経験し、現在は長野県を拠点に地方活性化に尽力されています。2019年05月に出版された著書「衰退産業でも稼げます」は、停滞感を感じている経営者たちの間で大きな話題を呼びました。ネット上では「地方には宝が眠っていることに気づかされた」「古いと思っていた伝統産業の可能性にワクワクする」といったポジティブな反響が続々と寄せられており、地方発の逆転劇に期待が高まっています。
ローテクでも起こせる!新結合という名のイノベーション
イノベーションと聞くと、多くの人が最先端の技術革新をイメージするかもしれません。しかし、経済学者のシュンペーターが提唱した本来の意味は「新結合」にあります。これは既存の知識やサービスを全く別の要素と組み合わせ、新しい価値を生み出すことを指す言葉です。つまり、特別な最新技術がなくても、アイデア次第で革新は起こせるのです。IT企業に限らず、地方の商店や旅館、伝統産業であっても、この考え方を取り入れることで飛躍のチャンスが掴めるでしょう。
そこで重要になるのが「ビギナーズ・マインド」という姿勢です。これは禅の言葉である「初心」を英訳したもので、既成概念にとらわれない外部の視点を意味します。業界の常識という名の「生活習慣病」にかかってしまった老舗企業にとって、外からの新鮮な視点は最高の特効薬になります。事業承継のタイミングで、他業種を経験した跡継ぎやその配偶者が新しい価値を発見し、ビジネスを劇的に進化させる事例は決して珍しいことではありません。
例えば、長野県上田市の「酒の原商店」では、他家から嫁いできた女性が、おまけとして配っていた自家製味噌の価値に気づき、商品化に成功しました。さらに、味噌作りの過程で生まれる甘酒の美味しさにも着目し、新たな収益の柱へと育て上げたのです。これこそが、内部の人間が当たり前だと思い込んでいたものに、外部の視点が光を当てた「新結合」の好例と言えます。古いものの中に眠る真の価値を見出し、現代のニーズに合わせる工夫が求められています。
「地産外招」が地方を救う!体験と発信でファンを掴む
次に提唱されるのが「増価主義」への転換です。これは時を重ねることを劣化と捉えず、価値が積み重なっていくと考える思想です。古い木造旅館などは、訪日外国人にとって歴史を感じる貴重な資産となります。ただし、ただ古いままではいけません。温水洗浄便座などの最新設備を導入し、一定の利便性を確保した上で、歴史の深みを際立たせることが重要です。不便さを取り除きつつ、その土地ならではの「テロワール(風土)」を磨き上げることが大切なのです。
さらに注目すべきは、地元の産品を外に売る「地産外商」を超えた「地産外招」という戦略です。百貨店の物産展は出展料が高く、小さな事業者にとっては負担が大きいのが現実でしょう。一方で地産外招は、その土地でしか得られない特別な体験を提供し、顧客を直接呼び寄せます。上田市の「小岩井紬工房」では、伝統的な手織り体験が大人気となっており、参加者の多くが県外からのリピーターです。そこには地元グルメを盛り込んだ弁当など、至れり尽くせりのおもてなしがあります。
こうした成功は決して偶然の産物ではなく、地道な情報発信の賜物です。SNSやブログを毎日更新し、特定の趣味を持つ層に刺さるメッセージを届け続ける努力が、運を呼び込みます。2019年現在、訪日外国人は年間3000万人を超え、4000万人時代も見えてきました。日本らしい、その土地にしかない本物の体験を求める層は確実に増えています。地方の小さな企業であっても、「誰に届けたいか」を明確にすれば、世界中から顧客を招くことができるのです。
編集者としての私の意見ですが、地方ビジネスの最大の敵は「諦め」ではないでしょうか。都会の二番煎じを目指すのではなく、その土地の歴史や風土をデジタルの力で可視化すれば、必ず熱狂的なファンが現れます。伝統を重んじつつも、変化を恐れずにアップデートを続ける姿勢こそが、2019年という変革の時代を勝ち抜く唯一の道だと確信しています。地方にはまだ見ぬ可能性が無限に広がっており、それを形にするのは今この瞬間を生きる私たちの情熱に他なりません。
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