日本の家電業界を牽引してきたシャープが、自社の歴史を象徴する重要な拠点の整理に踏み切ります。同社は2020年度中に、大阪市の平野事業所と奈良県葛城市の葛城事業所を閉鎖する方針を固めました。これらの拠点が担ってきた機能は、今後、大阪府八尾市の八尾事業所へと集約される予定です。長年親しまれてきた拠点が姿を消すというニュースは、多くの関係者に衝撃を与えています。
特に注目を集めているのが、第2次世界大戦前から稼働を続けてきた平野工場の系譜を継ぐ平野事業所です。ここはシャープの歩みを支えてきた「創業期遺産(レガシー)」とも呼べる場所であり、同社にとって精神的な支柱でもありました。SNS上では「歴史ある工場がなくなるのは寂しい」「一つの時代が終わるのを感じる」といった、惜しむ声が数多く寄せられており、企業文化の変遷に対する関心の高さが伺えます。
今回の決断を下したのは、経営再建を主導する戴正呉会長兼社長です。戴氏は、生産拠点をコスト効率の良い海外へ移転させ、国内拠点は高度な「研究開発(R&D)」に特化させるという大胆な構造改革を推進しています。ここで言う研究開発とは、新しい技術の発見や製品の試作を行い、将来の収益の柱を作る活動を指します。この戦略を完遂するため、同氏は創業の象徴であっても聖域視しない姿勢を明確にしました。
私個人の見解としては、伝統を重んじる日本企業において、このような象徴的拠点の閉鎖は極めて勇気の要る決断だと感じます。しかし、激動のグローバル市場で生き残るためには、過去の成功体験や思い出に固執せず、リソースを未来へ集中させる冷徹な合理性も必要でしょう。2019年07月18日に明らかになったこの再編劇は、シャープが真の再生を遂げるための避けて通れない儀式なのかもしれません。
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