2019年07月19日現在、日本は深刻な人手不足という追い風を受け、安倍政権下での雇用環境は一見すると良好な推移を見せています。しかし、その華やかな数字の裏側では、労働市場の根幹を揺るがす巨大な変化が静かに、そして確実に進行しているのです。それは、私たちが想像する以上のスピードで押し寄せている「デジタル化」という荒波に他なりません。
各政党は現在、最低賃金の引き上げや高齢者の就業支援、さらには非正規雇用者の待遇改善といった耳当たりの良い公約を並べています。もちろん、これらの施策は日本経済の底上げに欠かせない重要なステップと言えるでしょう。しかし、ネット上では「賃金アップも大切だが、AIに仕事が奪われる不安にどう答えてくれるのか」という切実な声が数多く上がっています。
ここで言う「デジタル化」とは、単にパソコンを導入することではありません。人工知能(AI)が、これまで人間が担ってきた事務作業(ホワイトカラー)や熟練の職人技までも代替し始める、産業構造のパラダイムシフトを指します。SNSでは「自分のスキルがいつまで通用するか分からない」といった将来への不透明感を訴える投稿が、現役世代を中心に拡散されています。
AI時代に求められる「リスキリング」と労働市場の柔軟性
今回の参院選において、各党に最も強く求められるのは、デジタル社会への完全移行を前提とした骨太な雇用政策です。AIやロボットを自在に操り、高い付加価値を生み出す人材と、変化に取り残される人材との間で、所得や機会の「二極化」が起こるリスクを直視しなければなりません。今まさに、国を挙げた「人の能力開発」が最優先課題となっているのです。
専門用語で「リスキリング(学び直し)」と呼ばれる社会人の教育訓練について、各党の主張を掘り下げる必要があります。自民党はデータの流通促進、国民民主党は研究開発の強化を掲げていますが、働く個人が具体的にどうやって新しい技能を習得すべきかという議論はまだ深まっていません。立憲民主党や維新の会も職業訓練の充実を訴えますが、その中身が問われています。
一方で、技術革新のスピードに既存の終身雇用制度が追いつかなくなっているのも現実です。経営者たちからは、長期の雇用保障はもはや困難であるという本音が漏れ始めました。これからは「一つの会社に居続ける」ことよりも、高い専門性を武器に「職を柔軟に移れる市場」を整備することこそが、結果として個人の雇用を安定させる鍵になるのではないでしょうか。
さらに注目すべきは、ネットを通じて単発の仕事を請け負う「ギグワーク」などの新しい働き方です。企業に対して弱い立場になりがちな個人を守るためのルール作りは、急務と言えるでしょう。単なる数字上の雇用改善に満足せず、デジタル変革の本質を捉えた政策論争が行われることを切に願います。未来の安心は、今の決断と具体的な知恵から生まれるはずです。
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