東ソーの2019年4〜6月期決算を徹底解説!ウレタン原料の採算悪化と機能商品が示す未来の兆し

化学業界の巨頭である東ソーが、2019年度の幕開けとなる第1四半期において、厳しい向かい風にさらされています。2019年4月1日から2019年6月30日までの連結営業利益は、前年の同時期と比較して1割ほど減少した210億円程度に留まった模様です。この減益の背景には、世界経済を揺るがしている米中貿易摩擦の影響が色濃く反映されています。特に中国市場での需要減退が、主力製品の採算を大きく押し下げる要因となりました。

今回の業績において、最も大きな打撃を与えたのが「ウレタン原料」の価格下落です。ウレタンは、自動車のシートといった内装材や建材、塗料、さらには合成皮革など、私たちの身近な製品に欠かせない素材として知られています。東ソーはこの原料の一つである「MDI(メチレンジフェニルジイソシアネート)」で国内トップのシェアを誇りますが、その価格が前年同期比で約2割も沈み込んでしまいました。SNS上でも「景気のバロメーターである化学大手の苦戦は、経済全体の冷え込みを予感させる」といった不安の声が上がっています。

なぜここまで採算が悪化したのでしょうか。要因の一つは、原料となる「ベンゼン」の価格は落ち着いていたものの、完成した製品の販売価格がそれ以上に下がってしまったことです。いわゆる「スプレッド(原料価格と製品価格の差)」が縮小し、売れば売るほど利益が出るという好循環が影を潜めてしまいました。これは、中国で環境規制が厳格化されたことにより、現地の顧客企業の工場稼働率が低下したことも大きく関係しているでしょう。

さらに、前年の2018年同期には競合他社で設備トラブルが発生し、市場の需給が極めてタイトになっていたという特殊な事情もありました。前年が高すぎたことによる「反動減」の側面も否定できず、数字以上の厳しさを感じさせます。しかし、すべての事業が沈んでいるわけではありません。化学繊維や紙の製造に用いられる「カセイソーダ」は、インドでの規格変更に伴う輸入停止やアジア全体の需要鈍化という逆風がありつつも、国内向けの値上げが浸透したことで、前年並みの利益を維持しました。

特筆すべきは、高付加価値な「機能商品事業」の躍進です。自動車の排ガスを浄化する触媒として利用される「ハイシリカゼオライト」の販売が順調に伸びており、東ソーの技術力の高さが改めて証明されました。汎用品が市況に左右される一方で、独自の強みを持つ製品が収益を支える構図は、今後の同社の生き残り戦略において極めて重要な鍵を握るはずです。一時の減益に一喜一憂せず、こうした成長分野への投資が実を結ぶかに注目が集まります。

東ソーは2019年8月1日に、より詳細な4〜6月期決算を発表する予定です。2020年3月期を通じた見通しでは、売上高が前期比で微減の8,600億円、営業利益は10%減の950億円を見込んでいます。個人的な見解としては、マクロ経済の動向に左右されやすい基礎化学品事業の脆さが露呈した形ですが、機能性材料へのシフトを加速させる絶好の転換点とも捉えられます。不透明な世界情勢の中で、同社がどのような次の一手を打つのか、投資家や業界関係者からの視線はかつてないほど鋭くなっています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました