👗ファッションテック最前線!イオン系「コックス」がAIで実現する半年先のトレンド予測と在庫ゼロ革命

近年、アパレル業界の長年の課題であった「在庫の山」を解消する切り札として、「ファッションテック」と呼ばれるIT(情報技術)を活用した生産・販売の改革が注目を集めています。イオン系のカジュアル衣料品店「コックス」もこの潮流に乗り、2019年秋冬向けの商品生産から、人工知能(AI)を大々的に活用した革新的な取り組みを本格的にスタートさせる方針です。

コックスが進める「生産改革」の核となるのが、ニューラルポケット(東京・千代田)と連携して導入する画像解析AI「AI MD」です。これは、ファッションサイトや世界的なイベントであるパリコレクションといったインターネット上の膨大な女性向け洋服画像を分析し、過去数年間の色や柄、アイテムの露出回数を徹底的に調べ上げます。その分析に基づき、主なターゲット層である10代から40代に、半年後に人気の高まるトレンドを数値で予測することが可能になるのです。

このAI予測は、まるで「ファッションの天気予報」のように表現されます。例えば、アウターが流行しそうな場合は「晴れ」、色味や柄なども細かく評価され、「青信号」が点灯すれば、そのアイテムと柄の組み合わせが良好であると判断される仕組みです。もちろん、機械が出した予測だけで全てを決めるのではなく、従業員が各店舗で直接聞いた来店者の声という「人の判断」も加味します。AIのデータドリブンな分析力と、人間の感覚・経験を融合させることで、需要と供給のミスマッチ、すなわち「需給の乖離」を極限まで小さくする狙いです。

この新たな仕組みは、コックスの主力ブランドである「ikkka(イッカ)」と「LBC」を中心に、2019年7月から順次店頭に並ぶ秋冬商品で導入されます。同社の宮野敦コーディネーター部長は、「バイヤーの感覚に頼っていた点が『見える化』できるようになった」と語り、これにより「在庫を減らし、粗利益率を高める」という長年の課題を克服できると期待を寄せています。実際に、あるワンピースの需要について社内の予想よりもAI分析が示す伸びが大きかった事例もあり、その予測精度への期待は高いものがあるでしょう。

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アパレル業界の巨人たちも参戦!AIが変える「情報製造小売業」

ファッションテックを駆使した取り組みでは、ユニクロなどを展開するファーストリテイリングが先行しています。同社は2018年夏から、米アクセンチュアに加え、巨大IT企業である米グーグルと共同プロジェクトを立ち上げています。世界中から集められた膨大なデータや画像を解析することで、今後流行する色やシルエットを正確に予測する技術を開発しているのです。

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が目指すのは、ITを駆使した「情報製造小売業」への転換です。彼らが掲げるのは「無駄なものをつくらない、運ばない、売らない」という3つの原則であり、AIを活用することで生産計画の精度を極限まで高め、追加生産の最適なタイミングを見極めようとしています。これは、過剰在庫による値下げ販売を減らし、定価での販売比率を高めることで、収益性を大きく改善させるための戦略だと言えるでしょう。

このように、アパレル業界のリーディングカンパニーが次々とIT武装を進める中で、「ファッションテック」の導入はもはや避けて通れない流れになっています。インターネット上のSNSなどでも、「AIで本当に売れるものが予測できるのか」「これでセールがなくなるなら嬉しい」といった様々な反響が寄せられており、業界の変革に対する消費者の関心も高まっていることがうかがえます。

AIはあくまで「道具」、最後に問われるのはブランド力とアイデア

ただし、AIが万能の解決策というわけではない、と業界幹部は冷静に分析しています。AIは在庫を減らし粗利益率(売上総利益を売上高で割った値)の改善には寄与するでしょうが、最終的な勝負は「消費者が本当に欲しいと思う商品」を提案できるかどうかに懸かっています。あるアパレル幹部は、「各社がIT武装を進めれば、最終的には商品やブランドの魅力が試されることになる」と指摘しています。

つまり、「ファッションテック」とは、競争力を高めるための強力な「道具」であり、土台となるのは、消費者に受け入れられるデザインや機能性といった「もの作り」のアイデアに他なりません。コックスをはじめとする各社は、この先端技術と魅力あるアイデアを組み合わせることで、激化するアパレル市場での生き残りを図り、競争優位性を確立していく必要があるのです。今後、AIによる予測が、私たちの衣料品の選び方や、街を彩るファッションのトレンドをどのように変えていくのか、大変楽しみな展開が待っていることでしょう。

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