海外旅行に何を求めるかは、お国柄が色濃く反映されるようです。2019年6月5日に公表されたリクルートライフスタイルによる調査結果から、主要4カ国の旅行ニーズが、驚くほど異なっている実態が明らかになりました。このデータは、今後のインバウンド(訪日外国人旅行)戦略を練る企業や自治体にとって、極めて重要な示唆を与えるものとなるでしょう。
リクルートライフスタイル傘下の研究機関である「じゃらんリサーチセンター」が、2018年末から2019年にかけて、年に1回以上海外旅行をした日本人、中国人、米国人、英国人の合計1,660名を対象に意識調査を実施しました。その結果、海外旅行の目的や渡航国の選定基準、現地での体験内容など、あらゆる面で国ごとの嗜好の差が浮き彫りになっています。
まず、海外旅行の「目的」を見てみましょう。日本人は「リラックスしたい」がトップ、次いで「おいしいものを食べたい」「日常から逃れたい」という項目が上位を占め、食とストレス解消に重きを置く傾向が顕著です。特に「ストレスを解消したい」がトップ10入りしたのは、調査対象の4カ国の中で日本人のみという結果で、日頃の多忙な生活からの解放を旅に求めている様子がうかがえます。
一方、他の3カ国では「リラックスしたい」「パートナーと充実した時間を過ごしたい」が共通して1位、2位となりました。しかし、その後の傾向は大きく異なります。中国人は「買い物をしたい」が他国より上位の6位にランクインしており、旅先でのショッピングを重視する傾向があると言えるでしょう。また、英国人は3位に「家族をおもてなししたい」が入るなど、人とのつながりや家族サービスを重要視していることが分かります。
際立った違いを見せたのが米国人です。彼らは「冒険心を満たしたい」を1位に挙げ、他国の「リラックス志向」とは一線を画しています。2位も「その土地ならではの異文化の世界を味わいたい」であり、米国人は旅を通じて探究心を満たすことや、未体験の文化に触れることを求めていることが明確になりました。
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渡航国選びと現地での体験:国別のこだわりが鮮明に
では、旅行先を決定する際に何を重視しているのでしょうか。日本人のトップ3は「観光名所がたくさんあること」「食事がおいしいこと」「旅行代がリーズナブルなこと」であり、やはり食事の順位が他国と比べて高いのが特徴です。また、渡航先での食事に関連して具体的に実施したこととして、日本人と中国人は「ミシュラン店舗に行く」がトップ10に入っていますが、日本人以外が上位4位までに入れている「ヘルシー・オーガニックフードを食べる」が日本人は7位と低い順位でした。このことから、日本人は旅行先では**「ご褒美」的な食を求める傾向にあると考えられます。
中国人は「訪問時期に旅行先がベストシーズンであること」がトップに、「自然環境が良く、環境問題が少ないこと」「治安が良いこと」が続き、観光名所よりも渡航先の環境を重視する姿勢が見受けられます。また、歴史や文化体験では、中国人のみが「伝統工芸品を見る、作る、買う」が6位にランクインしており、現地の工芸品への関心が高いことが分かります。
米国人は「旅行先に知人がいること」が3位に入っており、渡航国を選ぶ際に人的ネットワークを重要視していることが特徴的です。また、英国人は2位に「天候が良いこと」が入り、気候を重視していることが分かりました。食事関連では、米国人や英国人は「農園や酒蔵で食事をする」が5位に入り、生産地での体験型グルメへの関心が高いようです。歴史や文化体験では、米国人・英国人ともに「民族文化体験をする」が上位4位までに入っており、異文化への積極的な接触を求めていることが分かります。
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【編集者視点】インバウンド戦略は「国別コンテンツ」の時代へ
今回の調査結果は、海外旅行で求める要素が国によって大きく異なることを如実に示しています。観光名所や美味しい食事という普遍的な魅力に加え、ターゲットとする国ごとに戦略を立てる「国別マーケティング」が、今後、訪日客の取り込みにおいて非常に重要になると考えられます。
じゃらんリサーチセンターの松本百加里研究員は、「たとえば米国人向けには冒険心を満たすアクティビティを用意するなど、重視したい国別にコンテンツを変えることが効果的です」と指摘しています。この提言はまさに本質を突いていると言えるでしょう。
SNS上では、この調査結果に対し「日本人だけはいつも仕事の疲れを癒やすのが最優先なんだな…」「確かに、海外の友人はとにかくアクティブな体験を重視する人が多い!」といった共感の声や、国ごとの旅行スタイルへの驚きの声が多数寄せられ、大きな反響を呼んでいます。特に「日本のストレス社会」を指摘する声が多く見受けられました。
このデータに基づき、日本の観光地や事業者は、たとえば米国人旅行者には山岳ガイドツアーやマリンスポーツなどのアドベンチャー体験を、中国人旅行者には老舗百貨店での限定ショッピング体験や、環境に配慮した自然体験ツアーを、英国人旅行者には旅館での家族水入らずの滞在プラン**といった具合に、ターゲットに合わせたきめ細やかなコンテンツを企画することが、成功への鍵となるでしょう。画一的なインバウンド戦略は通用しない時代に突入した、と言えるのではないでしょうか。
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