【未来の漁業】衛星データとAIが拓く!日東製網の「賢い定置網」で漁獲量と効率が劇的に向上

日本の漁業の現場では、担い手不足や高齢化といった深刻な課題が山積しています。こうした状況を打破し、漁業をより効率的で持続可能な産業へと変革させる可能性を秘めた技術が、漁網メーカーの日東製網から登場する見込みです。同社は、2019年度をめどに、定置網の漁獲状況を陸上からリアルタイムで把握できる「魚群探知付きブイ」の販売開始を目指しています。

定置網とは、魚の通り道となる沿岸近くの決まった場所に大型の網を仕掛けておき、回遊してくる魚を待ち受けて捕獲する伝統的な漁法の一つです。現在、漁業者は毎日船を出して定置網まで行き、網を引き上げて実際に魚が入っているかどうかを確認する必要があります。この確認作業は、天候にかかわらず行わなければならず、魚がかかっていない日でも重労働を強いられる大きな負担となっていました。

日東製網が開発を進めるこの革新的な機器を導入すれば、漁獲状況の確認のためにわざわざ海に出る必要がなくなります。これにより、漁業者の作業負担が大幅に軽減され、漁業全体の効率化に大きく貢献することが期待されています。これは、技術の力で日本の第一次産業をサポートする、非常に価値のある取り組みであると評価できるでしょう。

この新型ブイは、2018年度に北海道大学や衛星ブイを開発するアイティ企画(埼玉県川口市)などとの共同実験で効果が実証されました。実験では、沖合に設置した定置網内に幅40センチほどの専用ブイを設置し、その魚群探知機を用いて1時間ごとに網内の漁獲量を水深別に詳細に探知しました。取得されたデータは通信衛星を経由して陸上のパソコンに送信され、漁業者がその場で網にかかった魚群の状況を正確に把握できることが確認されました。

従来の漁業では、漁獲状況にかかわらず毎日網を引き上げる必要があったため、魚がかかっていない無駄な出漁や、逆に、網を引き上げるタイミングがずれてしまい、網に入っていた魚が逃げてしまう機会損失が発生する恐れがありました。しかし、この魚探付きブイがあれば、陸上で漁獲量を確認してから最も適切なタイミングで出漁や網上げができるようになるため、漁獲量を最大化し、燃料費や労力といったコスト削減にも繋がります。

日東製網は、この専用ブイの販売価格を数十万円程度と見込んでおり、漁業の担い手不足が深刻化する中で、効率化による作業負担の軽減は、未来の漁業を支える重要なカギとなるでしょう。また、漁獲状況のデータをリアルタイムで有効活用することで、漁港にある魚市場の営業判断や、漁獲量に応じた氷や箱などの必要な資材を的確に準備できるようになるなど、流通・加工段階での効率化も期待できるのです。

スポンサーリンク

漁獲予測と網の形状診断、未来へ繋がる新たな可能性

この共同実験では、漁獲量の遠隔把握以外にも、定置網が風や波で形を崩していないかの診断や、いつ・どんな種類の魚が・どれくらいの量で漁場に来るかを予測する技術の開発にも成功しています。網の形状を正常に保つことができれば、網から魚が逃げてしまうことを防ぐことが可能です。これは、漁獲の安定化に直結する重要な技術だと言えるでしょう。

魚群の来遊予測は、実験を行った漁場の過去10年間の水揚げ量や水温などの蓄積データをAIで分析し、大漁になりやすい環境を参考に算出されました。その予測精度は非常に高く、2018年の実験では、ブリやマグロ、イカといった魚種で約60パーセント、サケについては約90パーセントもの確率で、実際の水揚げ実績と予測が一致したとのことです。これは、もはや”勘”に頼る漁業ではなく、データに基づいたスマートな漁業への転換を意味していると言えるでしょう。

この画期的な技術の登場は、SNS上でも「漁業の働き方改革だ」「高齢化対策に直結する」「未来の漁業はこれで決まりだ」といった、期待と好意的な反響を呼んでいます。特に、若手漁業者からは、労力の軽減と収入安定への期待が高まっているようです。

ただし、現時点では、魚群来遊の予測技術や定置網の形状診断は、魚探ブイのような安価な販売段階には至っていません。これらの分析や予測データを構築するには、多大なコストがかかるためです。しかし、日東製網は、これらの技術についても引き続き検証を進めており、漁業者が手の届きやすい価格で提供できることを目指しています。漁獲量の遠隔把握に加えて、これらの予測・診断技術が加わることで、日本の漁業はさらに持続可能で魅力的な産業へと進化していくに違いありません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました