2019年07月21日に投開票が行われた参議院議員通常選挙が幕を閉じ、日本国内の政治基盤が固まったことを受けて、いよいよ日米間の貿易交渉がアクセルを全開にして動き出そうとしています。これまで選挙への影響を考慮して静観していた両国ですが、今後は具体的な関税の引き下げや市場開放を巡る、非常に激しい駆け引きが展開される見通しです。
今回の交渉において最大の争点となっているのは、日本が誇る基幹産業である「自動車」などの工業品と、国民の食を支える「農産品」の取り扱いです。ドナルド・トランプ大統領率いるアメリカ側は、大統領選を控えている背景もあり、自国の農家を支援するために日本市場の早期開放を強く迫っています。対する日本側は、いかにして国益を守り抜くかが問われています。
ここで注目されるのが「関税」という言葉です。これは輸入品に対して国が課す税金のことで、自国の産業を安価な外国製品から守る壁のような役割を果たします。アメリカはこの壁を低くし、牛肉や豚肉を日本にもっと売りたいと考えています。一方、日本はアメリカに輸出する車にかかる税金をゼロに近づけたいという思惑があり、双方の利害が複雑に絡み合っています。
安倍晋三首相は、すでに発効している「EPA(経済連携協定)」で約束した水準を超えて、農産品の市場を開放することはないと明言しています。EPAとは特定の国や地域間で、貿易の自由化を進めるためのルールのことです。日本としては、すでに他国と結んでいる約束を「上限」として死守する構えを見せていますが、アメリカの強力なプレッシャーをどこまで跳ね返せるかが注目されます。
9月の首脳会談で大枠合意へ?スピード決着を目指す日米の思惑
SNS上では今回の動きに対し、「食の安全や農家の生活はどうなるのか」といった不安の声が上がる一方で、「車がもっと売れるようになれば景気が良くなるはずだ」という期待感も混じり合っています。国民の関心は極めて高く、特に2019年09月下旬に開催される国連総会に合わせた日米首脳会談が、一つの大きなターニングポイントになると目されています。
政府が描いている最速のシナリオでは、この2019年09月の首脳会談の場で、交渉の全体像を固める「大枠合意」を目指す方針です。通常、こうした国家間の交渉には長い年月を要するものですが、政治的な成果を急ぎたい両首脳の意向もあり、異例のスピード決着となる可能性も否定できません。私たちは、その交渉過程を冷静に見守っていく必要があるでしょう。
編集部としての視点ですが、自由貿易の推進は経済の活性化に不可欠なものの、拙速な合意によって国内農業が壊滅的な打撃を受けるような事態は避けるべきだと考えます。目先の自動車輸出の利益だけでなく、食料自給率や地方経済の維持といった多角的な視点を持って、粘り強い交渉を日本政府には期待したいところです。まさに今、日本の未来を左右する正念場を迎えています。
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