アジアの製造拠点として目覚ましい発展を遂げるベトナムが、今、国家の威信をかけた大きな岐路に立たされています。2019年07月23日、ベトナム政府は横行する「原産国偽装」を根絶するため、不当表示への取り締まりを劇的に強化する方針を固めました。この背景には、中国製品をベトナム製と偽って第三国へ流す「迂回輸出」が深刻な問題となっている現実があります。
「迂回輸出」とは、高い関税を避けるために本来の製造国ではない国を経由して輸出する、いわば「貿易の脱税」のような行為を指します。米中貿易戦争が激化する中、中国からの生産移管が進む一方で、この抜け穴を利用する悪質なケースが急増しているのです。SNSでは「ベトナム経済の信頼が失墜しかねない」「本気で対策しないと米国に潰される」といった危惧する声が溢れています。
剥がされる「中国製」ラベルの衝撃!アサンゾ事件が暴いた闇
取り締まり強化の直接的な引き金となったのは、新興家電メーカー「アサンゾ」による驚愕の偽装発覚でした。現地での報道によれば、同社は中国から完成品に近いテレビなどを輸入し、ベトナム国内で極めて単純な加工を施しただけで「日本技術を採用したベトナム製」と銘打って販売していたのです。その実態は、あまりにもお粗末で衝撃的なものでした。
驚くべきことに、工場の従業員に与えられた最も重要な任務は、液晶パネルに貼られた「Made in China」のラベルを剥がすことだったと伝えられています。こうした行為は「アサンゾ」に限ったことではなく、多くの企業で常態化しているのが現状です。ベトナム統計総局のグエン・ビク・ラム長官も、現行の規定が曖昧であることを認め、強い危機感を露わにしています。
これまで新興国では「原産国表示」の基準が不明瞭で、運用も企業側のモラルに委ねられていた側面が否定できません。しかし、2019年05月にはハイフォン市で中国製の靴がベトナム製として輸出される直前に摘発されるなど、事態は一刻を争うフェーズに入っています。私は、このまま放置すれば真面目に製造を行う日系企業などにも火の粉が飛ぶのは明白だと考えます。
トランプ政権の怒りと最大456%の超高関税が迫る恐怖
ベトナムが法整備を急ぐ最大の要因は、トランプ米大統領による強硬な姿勢に他なりません。トランプ氏は2019年06月、迂回輸出の取り締まりが不十分な場合、ベトナムに対しても中国と同等の制裁関税を課す可能性を突きつけました。さらに同年07月02日には、台湾や韓国産の素材を使った鉄鋼製品に対し、最大456%という破格の関税を課すことを決定しています。
ベトナムの対米貿易黒字は、2019年01月から05月までの期間で約216億ドルに達し、前年同期比で4割以上も爆発的に増えています。急激な黒字拡大は米国の監視をより一層厳しくさせており、もはや言い逃れは通用しない状況です。自由貿易協定(FTA)で求められる、付加価値や製造工程を厳格に規定する「原産地証明書」の基準を国内流通にも導入する動きが加速しています。
ベトナム政府が進める省庁横断の法令策定は、国の経済的な自立と信頼を守るための最後の砦となるでしょう。一刻も早く国際基準に準拠したルールを確立し、悪質な偽装業者を排除できるかどうかが、東南アジアの優等生としての未来を左右します。単なるラベルの貼り替えで甘い汁を吸う時代は、2019年、ついに終焉を迎えようとしているのです。
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