韓国を代表する自動車メーカーである現代自動車から、2019年07月22日に注目の最新決算が発表されました。2019年04月から06月期における連結決算によれば、営業利益は1兆2380億ウォン(日本円で約1140億円)に達し、前年の同じ時期と比較して30%も増加するという、非常にポジティブな数字を叩き出しています。
この好調を支えた原動力は、なんといっても昨年末に投入された新型SUV(多目的スポーツ車)の堅調な売れ行きでしょう。SUVとは、レジャーから街乗りまで幅広く活用できる力強いデザインの車種を指しますが、現代自動車はこの市場の変化を的確に捉えたといえます。これにより、四半期ベースでの増益基調をしっかりと維持することに成功しました。
特に注目すべきは、排気量3.8リットルを誇る大型SUV「パリセード」の存在です。この車種は一台あたりの利益率が高い「採算の良いモデル」として開発され、業績の底上げに大きく貢献しました。売上高も9%増の26兆9660億ウォンを記録しており、主力モデルの刷新が功を奏した形となっています。SNS上でも「パリセードのデザインは迫力がある」「韓国車のイメージが変わった」といった、肯定的な反応が散見されます。
回復への期待と、立ちはだかる「ピーク時との差」という壁
2019年07月22日に行われたアナリストとの電話会議において、同社の崔秉チョル(チェ・ビョンチョル)副社長は、さらなる新型小型SUVの投入を予告しました。2019年後半に向けても、この回復軌道をなんとしても維持したいという強い決意が、その言葉からは滲み出ています。半導体輸出が低迷する韓国経済において、この自動車部門の健闘は一筋の光といえるでしょう。
しかし、手放しで喜べる状況ではないのも事実です。確かに18年を底とした回復の兆しは見えますが、現在の利益水準は、過去最高を記録した2012年の約半分以下にとどまっているからです。この「利益の質」をいかに高めていくかが、今後の真の課題となります。私個人の見解としても、単なる台数の回復だけでなく、ブランド価値の再構築が急務であると感じます。
実際、2019年04月から06月期の世界販売台数は、前年より7%減少して110万台強となっています。特に巨大市場である中国での苦戦が続いており、アメリカでも景気後退への懸念から需要そのものが冷え込みつつあります。韓国国内でも中央銀行が利下げを断行するなど、景気の不透明感が増しており、副社長が描くシナリオ通りに進むかは予断を許しません。
日韓関係の緊張が影を落とす?次世代車戦略への潜在的リスク
さらに、現代自動車の行く手には政治的なリスクも浮上しています。日本政府による輸出規制の強化をめぐり、将来的に電気自動車(EV)などの環境対応車に欠かせない部品が対象になるのではないかという懸念が、韓国メディアの間で広がっているのです。特に車載電池の「セパレーター(絶縁膜)」といった重要部材は、日本企業が高いシェアを誇る分野です。
セパレーターとは、電池の内部でプラスとマイナスを分ける絶縁体のことで、これがなければ安全なバッテリーは作れません。もしこの供給が滞れば、現代自動車が成長の柱として掲げるエコカー戦略に、大きなブレーキがかかる恐れがあります。技術の進歩だけでなく、地政学的な動向が企業の命運を左右する、非常にスリリングな局面に立たされていると言えるでしょう。
SK証券の予測では、2019年通期で7年ぶりの増益が見込まれていますが、それでも2017年の実績を下回るという厳しい分析も出ています。最悪の期を脱したとはいえ、かつての黄金期を取り戻すまでの道のりは、まだまだ険しいものになりそうです。時代の荒波をこのSUV旋風で乗り切れるのか、今後も世界中の投資家やファンがその動向を注視しています。
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