ボリス・ジョンソン氏が英首相へ就任!「合意なき離脱」の衝撃と揺らぐ民主主義の行方

イギリスの政治史が大きな転換点を迎えようとしています。2019年07月23日、与党・保守党の新党首にジョンソン前外相が選出されました。翌日の2019年07月24日には正式に首相へと就任する運びとなり、欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」も辞さないという強硬な姿勢が、ついに国家の舵取りを担うことになったのです。かつては世界の民主主義の模範とされた英国が、ポピュリズムの荒波に本格的に飲み込まれた瞬間といえるでしょう。

ジョンソン氏といえば、その奔放すぎる言動が常に物議を醸してきました。人種差別的なニュアンスや女性蔑視、さらにはイスラム教への敵視とも取れる発言を繰り返しながらも、彼はトップの座を勝ち取ったのです。この結果を導き出したのは、約16万人におよぶ保守党員でした。彼らの多くは55歳を超える白人層で構成されており、かつての「偉大な大英帝国」への強い郷愁を抱きながら、ブレグジット(英国のEU離脱)という夢を彼に託したのです。

SNS上では、このニュースに対して「トランプ大統領の英国版が誕生した」といった驚きの声が上がる一方で、「強い英国を取り戻してほしい」という期待も渦巻いています。しかし、冷静な視点で見れば、英国社会全体で彼に対する抵抗感が薄れている現状には、一抹の不安を禁じ得ません。英政府は2019年07月18日に、「合意なき離脱」によって2020年末までにGDPが2%も押し下げられるという、厳しい経済予測を公表したばかりなのです。

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ポピュリズムの影と経済界が抱く「究極の選択」

ポピュリズムとは、エリート層に不満を持つ大衆の感情に訴えかけ、熱狂的な支持を背景に政治を動かす手法を指します。多くの経済学者が警鐘を鳴らしているにもかかわらず、市民の間に危機感が広がらない背景には、4%を割り込むという記録的な低失業率があるのかもしれません。2019年07月20日に行われた反対デモが予想外に盛り上がりを欠いたことも、国民のどこか冷めた、あるいは諦めに近いムードを象徴しているようです。

経済界や金融関係者の間でも、ある種の絶望感が漂っています。彼らが最も恐れているのは、実は離脱そのもの以上に、総選挙で保守党が敗北し、労働党のコービン党首が首相に就任することでした。コービン氏は主要産業の国有化、つまりかつて公営だった企業を再び国営に戻す政策を掲げています。「極左政権が誕生するよりは、選挙に強いジョンソン政権の方がまだマシだ」という、究極の消去法による選択がなされているのです。

しかし、こうした目先の判断には大きな落とし穴があるのではないでしょうか。一度国有化された産業も、政治の風向きが変われば再民営化できますが、EU離脱という決断は、一度実行してしまえば後戻りはできません。再加入を希望しても、加盟全カ国の合意という極めて高いハードルが立ちはだかるからです。自らの実力を過信し、EUの主導権から逃れようとする誇り高い選択が、皮肉にも英国の国際的な地位を失墜させる未来が見えてしまいます。

英国流の古いジョークに「ドーバー海峡に霧が発生し、欧州大陸が孤立した」というものがありますが、今や孤立しているのは英国自身に他なりません。議会が離脱を阻止し、連立政権によって離脱が撤回されるという希望的な観測も一部にはありますが、現実はもっと過酷でしょう。日本にとっても民主主義の手本であった英国が、この「戦後最大の国難」をどう乗り越えるのか。私たちは、その凋落の始まりではないことを祈るばかりです。

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