VWがメキシコに10億ドル投資!伝説の「ビートル」に代わる新型SUV「タレック」が2021年に北米へ

世界中の自動車ファンから愛されてきたフォルクスワーゲン(VW)の象徴、「ビートル」がその長い歴史に幕を閉じました。2019年07月10日、メキシコのプエブラ工場で最後の1台がラインオフされたニュースは、SNS上でも「一つの時代が終わった」「寂しすぎる」と大きな喪失感を持って受け止められています。しかし、VWはこの思い出深い拠点に、なんと約10億ドル、日本円にして約1080億円という巨額の投資を断行することを2019年07月24日までに発表しました。

この投資の目玉となるのが、ビートルの後継役を担うことになった新型SUV「Tarek(タレック)」の生産計画です。タレックは、現在人気を博しているSUV「ティグアン」よりも一回りコンパクトなサイズ感が特徴のモデルとなっています。SUVとは「スポーツ・ユーティリティ・ビークル」の略称で、荷物をたくさん積める実用性と、悪路も走れる力強さを兼ね備えた多目的乗用車を指しますが、現在の北米市場ではこのカテゴリーが空前のブームを巻き起こしているのです。

プエブラ工場では2020年から生産が開始され、2021年中には北米市場に向けて順次投入される予定となっています。かつてはメキシコの街中がビートルのタクシーで溢れかえっていたほど、この地とVWの絆は深く、今回の新車種投入は地域の雇用を守るという意味でも極めて重要な意味を持つでしょう。ネット上では「丸っこいビートルの後は、ゴツいSUVなのか」と驚きの声も上がっていますが、市場のニーズを汲み取った英断と言えるかもしれません。

現在、北米の通商環境は非常に不安定な状況に置かれています。北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定「USMCA」の批准が遅れているほか、トランプ政権による追加関税の懸念も拭えません。それでもVWがメキシコを重視するのは、この国が持つ地理的な優位性を高く評価しているからでしょう。北は巨大市場の米国に隣接し、大西洋を渡れば欧州への輸出も容易なメキシコは、依然として世界戦略における「黄金の輸出拠点」としての輝きを失っていないようです。

編集者の視点から言えば、今回のVWの動向は「伝統よりも生き残りをかけた実利」を優先した象徴的な動きだと感じます。確かにビートルの引退は文化的な損失ですが、企業として収益性の高いSUVにリソースを集中させる戦略は、冷徹ながらも正しい選択でしょう。1万4000人の従業員を抱えるメキシコ拠点が、新型タレックの成功によって再び活気づくことを期待せずにはいられません。かつてのアイコンが去った後の工場で、新たなヒット作が誕生する瞬間が今から楽しみです。

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