🔥【2019年欧州議会選を徹底解説】ポピュリズムの変質がEUを揺るがす!懐疑派の戦略と未来への展望

2019年5月23日から26日にかけて実施された欧州連合(EU)の欧州議会選挙は、単なる政治イベントを超え、EUの将来像に大きな影響を与える結果となりました。前回40%台前半だった投票率が、今回は約51%へと大きく上昇した点は特筆すべきでしょう。これにより、より広範な民意が反映された結果、議会内の勢力図は多極化し、分断化が進んでいるのが現状です。

長らくEUの二大勢力であった中道右派の欧州人民党(EPP)と、中道左派の欧州社会・進歩連盟(S&D)が退潮し、両党を合わせても過半数に達しないという異例の事態が生じました。その一方で、リベラル派の欧州自由民主同盟や、環境保護派の緑の党・欧州自由連合といった勢力が大きく台頭しています。これらの新興勢力は政策的な違いはあれど、一様に親EU派であり、合計では全751議席の過半数を大きく超える511議席を獲得していることから、EU統合の推進力は依然として存在すると言えるでしょう。

しかし、本選挙で最も注目すべきは、欧州懐疑主義、ナショナリズム(国民主義)、そして反既成勢力を掲げるポピュリスト政党の動向です。彼らは右派を中心に、「国家と自由の欧州」「欧州保守改革連盟」「自由と直接民主主義の欧州」の三つの主要会派を結成しており、その獲得議席は全体の23%に上り、前回の2014年選挙の21%を上回る結果となりました。これらのポピュリスト政党は、議会選を契機に大同団結し、EUを内側から自分たちに都合の良い形に変革することを目指しています。

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ポピュリズムの戦略変更:離脱から「超国家性」への制約へ

ポピュリスト政党のEUに対する姿勢は、ここ数年で大きく変質していると考えられます。かつてはEUやユーロからの離脱、つまり自国への主権奪還を主要な主張としていました。しかし、2019年2月から3月にかけて行われたEUの世論調査**「ユーロバロメーター」**によれば、英国を除くEU27カ国の市民の平均68%が「自国はEU加盟から恩恵を受けている」と感じており、「明日国民投票があればEU残留に投票する」と回答した市民も平均68%に達しています。離脱支持が残留支持を上回る国は一つもありません。

加えて、EU離脱を決定した英国の混迷が国内外で露呈したことも、ポピュリスト政党の戦略転換を後押しした大きな要因でしょう。こうした背景から、各国ポピュリスト政党は、EUに留まり、内側から変革するという方針へと転換したものと推察されます。これは、EUに付加価値があることを暗黙のうちに認めることとなり、これまでEUそのものへの「野党」として機能してきた欧州ポピュリズムが、ある意味で変質したことを意味します。

例えば、イタリアの同盟党首で内相を務めるサルビーニ氏は選挙前に「コモンセンス欧州」を提唱し、「雇用、家族、安全、環境保護を中心に取り戻さなければならない」と訴えました。これは単なる反EUではなく、ある程度の欧州統合を前提としつつ、EUの権限が加盟国の主権を上回る部分、すなわち**「超国家性」に歯止めをかけ、具体的なEU政策の変更を要求するものです。彼らはEUの存在価値を認めつつも、その権限の暴走**を抑制しようとする、批判的な勢力としての立場を鮮明にしていると私は考えます。

大同団結を阻む「亀裂」:ポピュリスト統一会派の実現性

ポピュリスト政党は、「人民と国家の欧州同盟」のような統一会派を結成し、欧州議会での主導権を握ることを目指しています。サルビーニ氏は、自党に加え、「ドイツのための選択肢(AfD)」や北欧・スペインの同種政党との連携を図っています。さらに、この野心を実現するためには、ハンガリーのフィデス・ハンガリー市民連盟や、ポーランド与党の**「法と正義」**といった有力政党の参加が不可欠とされています。

もしブレグジット党を除いたこれらの政党すべてが結集すれば、リベラル派の欧州自由民主同盟を抜き、第3党となる可能性を秘めています。しかし、統一会派の結成期限とされる7月1日までに、フィデスや「法と正義」が実際に参加するかは不透明な状況です。そもそも、ポピュリスト政党が合計で過半数の議席を確保していないため、法案や予算案の成立、欧州委員長候補の選出を阻止する力はありません。加えて、彼らの大同団結を阻むいくつかの決定的な障壁が存在しています。

その一つがEU予算を巡る対立です。EU予算への純粋な拠出国である西欧諸国と、純粋な受け取り国である東欧諸国の間で、財政移転のあり方を巡って対立が起こりえます。また、対ロシア関係を巡る見解の相違も無視できません。仏国民連合や伊同盟など一部の政党は親ロシア派の傾向がありますが、ポーランドや北欧諸国はロシアを安全保障上の脅威とみなしており、意見の隔たりは深刻です。さらに難民問題では、負担の平等化を求めるイタリアに対し、ハンガリーやポーランドがそれを拒否するなど、不協和音が生じる可能性が高いのです。これらの要因から、ポピュリスト政党の統一会派結成と、そこからのEU変革は、道半ばであると言わざるを得ません。

真の変革ルートは「政府間協力」:欧州議会の限界

ここで重要なのは、欧州議会の権限が、実際よりも過大に評価されているという点です。欧州議会は、各国の下院(衆議院など)とは異なり、ここでEUの「政権交代」が起きることはありません。なぜなら、欧州議会には法案提出権がなく、予算案の最終決定権はあるものの、固有財源の決定権も持たないからです。また、税制のような機微な分野では、加盟国政府の閣僚で構成される閣僚理事会が単独で決定する特別立法手続きに従います。

にもかかわらず、ポピュリスト政党が欧州議会を重視するのは、欧州議会がEUの民主的正当性の源であり、ここでの支持拡大がEU全体での影響力拡大に不可欠だと認識しているからです。しかし、EUの政策決定で実権を有するのは、基本方針を定める欧州理事会(EU首脳会議)や、広範な決定権限を持つ閣僚理事会なのです。

したがって、各国ポピュリスト政党にとって、欧州議会ルートよりも、政府間ルートで協力する方がはるかに実効的であると言えるでしょう。自国の政権に参加し、そこから欧州理事会や閣僚理事会の構成員として出席することで、全加盟国のコンセンサス(合意)形成に直接影響を与えることが可能です。さらに、EUの執行機関である欧州委員会の委員を自国政党から送り込む道も開けます。現在、EU28カ国の約3分の1でポピュリスト政党が政権に参加、あるいは閣外協力をしている状況です。もしポピュリスト政党が支配する加盟国がEUの中で多数派を占めることになれば、その時こそEUの統合体制に対する真の危機が訪れる可能性が高いと私は懸念しております。

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