2019年07月25日、日本経済新聞社が発表した最新の調査結果により、ビジネス界に大きな地殻変動が起きていることが明らかになりました。2019年上半期(1月から6月まで)における主要企業の社長交代数は、前年を大幅に上回る710社に達しています。これは実に7年ぶりとなる700社超えの水準であり、日本企業のトップマネジメントが今、かつてないスピードで入れ替わっている現状を物語っているでしょう。
この現象の背景には「コーポレートガバナンス(企業統治)」の強化という大きな潮流が存在します。企業統治とは、会社が株主や顧客などのステークホルダーのために、透明・公正かつ迅速な意思決定を行うための仕組みを指す言葉です。不祥事や業績不振を放置せず、組織を健全に運営するための監視体制が、ようやく日本企業の深部まで浸透し始めた手応えを感じざるを得ません。SNSでも「ついに日本企業が変わり始めた」と期待を寄せる声が目立ちます。
株主の力が動かした異例のトップ人事と「二極化」する年齢層
2018年06月に改訂された「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」の影響は絶大です。この指針によって、上場企業にはトップの選任や解任に関する基準を明確にすることが強く求められるようになりました。その結果、2019年06月の株主総会では経営陣への厳しい視線が注がれ、株主の意志が人事に直結するケースが続出しています。もはや社長の座は、聖域ではなくなったといっても過言ではないはずです。
具体的な事例として、LIXILグループでは瀬戸欣哉氏が株主の支持を背景に劇的な復帰を遂げ、大きな注目を集めました。また、デサントでは筆頭株主である伊藤忠商事による「敵対的TOB(株式公開買い付け)」、すなわち事前の合意を得ない強硬な買収が行われ、経営権が移動する事態となりました。SNS上では「企業の私物化が許されない時代になった」という意見が飛び交っており、株主による監視機能がかつてないほど高まっていることが伺えます。
新社長の年齢層に目を向けると、興味深いことに「二極化」が進んでいる様子が見て取れます。若返りを図る40代と、経験豊富な60代が共に増加しているのです。安定を重視してベテランに舵取りを任せる企業がある一方で、破壊的イノベーションのために若きリーダーを抜擢する企業も増えています。50代が最多層である事実に変わりはありませんが、この変化は日本企業の経営戦略が多様化している証拠といえるのではないでしょうか。
不祥事への厳しい引責と、わずかに差し込むダイバーシティの光
一方で、負の側面による交代劇も目立った上半期となりました。施工不良問題に揺れたレオパレス21や、データの改ざんが発覚したKYBなど、相次ぐ不祥事の責任を取る形での辞任が相次いでいます。以前のような「なあなあ」の責任追及で終わらせるのではなく、経営トップを刷新して信頼回復を急ぐ姿勢は、今の時代において避けては通れない選択でしょう。甘いガバナンスが企業の命取りになることを、改めて世に知らしめる結果となりました。
希望を感じさせるトピックとしては、女性社長が11人と過去最多を記録した点が挙げられます。井村屋グループの中島伸子氏や、マネックス証券の清明祐子氏といったリーダーの誕生は、「ダイバーシティ(多様性)」を企業の成長エンジンに変えようとする力強い意志を感じさせます。多様な視点が経営に取り込まれることで、硬直化した日本企業の文化が内側から刷新されていくことを期待せずにはいられません。
ただし、喜んでばかりもいられません。女性社長が過去最多とはいえ、全体に占める割合はわずか1.5%という極めて低い水準に留まっているからです。真の意味で日本企業が国際的な競争力を取り戻すには、性別や年齢に関わらず、最も能力のある人物がリーダーに選ばれる仕組みをさらに定着させる必要があるでしょう。この激動の2019年が、後世に「日本経営の転換点」と呼ばれることを願って止みません。
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