世界中でシェアオフィス旋風を巻き起こしている「ウィーワーク(WeWork)」の運営元、ウィーカンパニーが2019年9月にもアメリカ株式市場へ上場する見通しとなりました。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが2019年7月23日に報じた内容によると、今回の新規株式公開(IPO)による調達額は、日本円にして数千億円規模という極めて大規模なものになる模様です。投資家の間では年内の上場が有力視されていましたが、予想を上回るスピード感で準備が進められているようです。
2019年に実施されたアメリカのIPO市場を振り返ると、配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズが約81億ドルを調達したことが記憶に新しいでしょう。今回のウィーカンパニーの上場は、そのウーバーに次ぐ今年最大級の注目案件になる可能性を秘めています。SNS上では「ついに来たか」「働き方が変わる象徴的な出来事だ」といった期待の声が上がる一方で、急成長を続ける同社の実態を冷静に見極めようとする慎重な意見も散見されます。
ここで改めて解説しますと、IPO(新規株式公開)とは、未上場企業が自社の株式を証券取引所に上場させ、誰でも自由に売買できるようにすることを指します。これにより、企業は広く一般の投資家から巨額の成長資金を募ることが可能になるのです。現在、アメリカの株式市場は、中央銀行にあたるFRB(連邦準備理事会)の利下げへの期待感を背景に、ニューヨークダウが最高値圏で推移するという絶好の地合いを迎えています。このチャンスを逃さず、有利な条件で資金を確保したいという経営側の狙いが見て取れますね。
巨額出資を受けるユニコーンの光と影
ウィーカンパニーは、ソフトバンクグループが運営する「ビジョン・ファンド」から100億ドルを超える莫大な出資を受けていることでも知られています。日本を代表する投資企業の後押しがあるからこそ、短期間での世界展開が可能になったのでしょう。しかし、上場を目前に控えた2019年7月18日、創業者であり最高経営責任者(CEO)を務めるアダム・ニューマン氏が、自身の保有株のうち約7億ドルを売却していたという驚きのニュースが飛び込んできました。
通常、これから上場して株価の上昇を目指す企業のトップが、直前に多額の株を手放すことは異例中の異例といえるでしょう。投資家の視点から見れば「トップが自社の将来に自信を持っていないのではないか」という疑念を抱かせるリスクがあるためです。革新的なビジネスモデルで急成長を遂げる裏側で、ガバナンスや経営の透明性が改めて問われる局面に来ているのかもしれません。編集者としての私の視点では、この売却劇が上場時の株価評価にどのような影を落とすのか、非常に気になるところです。
とはいえ、彼らが提供する「コミュニティ型ワークスペース」は、単なる場所の提供を超え、次世代のクリエイティブな働き方を提案する唯一無二の存在であることは間違いありません。2019年4月末には既に米証券取引委員会(SEC)への申請を済ませており、9月の上場が実現すれば、不動産業界とテック業界の境界線がさらに曖昧になっていくことでしょう。働き方の多様化が進む現代において、この巨大な「ユニコーン企業」が公の市場でどのような評価を下されるのか、世界中の視線が注がれています。
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