🚗💨 【CASE時代を加速】 堀場製作所が「測定データ」を武器に挑む100年に一度の自動車革命!自動運転・EV開発を支える計測機器の知られざる実力

自動車業界に「100年に一度の変革期」が押し寄せている中、計測機器のリーディングカンパニーである堀場製作所が、その隠れた実力をいかんなく発揮しようとしています。業界のキーワードは、コネクテッド(C)、自動運転(A)、シェアリング(S)、電動化(E)を指す「CASE(ケース)」。この新時代を見据え、同社はあらゆる車両性能を評価できる高度な装置や試験施設を国内外で整備し、自動車部品メーカーの開発支援にも積極的に乗り出しているのです。長年培ってきた「測定」技術から得られる膨大なデータを最大の武器とし、新しいビジネスモデルの構築へとアクセルを踏み込んでいます。

その変革の核となるのが、イギリス・バーミンガムから東に約30キロメートル離れた広大な敷地にある、自動車開発支援子会社、ホリバ・マイラが運営する試験施設です。東京ドーム60個分にも及ぶこの敷地には、総延長100キロメートルものテストコースが整備されており、トヨタ自動車やホンダなども研究拠点を構えています。同社はここに約30億円を投じ、「ブラックレイク(黒い湖)」と名付けた直径300メートルの巨大なサークル施設を2020年内の完成を目指して建設中です。これは、車両が一定の摩擦係数で走行できる路面環境を作り出し、ADAS(エーダス:先進運転支援システム)専用の多岐にわたる実験を重ねることを可能にする画期的な施設なのです。

例えば、自動運転中にサイバー攻撃を受けた際の車両の挙動確認や、複数の車両を同時に高速走行させても衝突しないか、あるいは赤信号を自動認識して交差点で確実に停止できるかといった、極めて高度な検証が可能になります。自動運転には車両技術だけでなく、ITS(高度道路交通システム)の整備も不可欠であり、「ブラックレイク」はこれらの実験に対応できる世界でも数少ない施設となるでしょう。堀場厚会長兼グループCEOは、この施設が「自動車メーカーとの強い関係を築ける」CASE対応の中核施設となることに、大きな自信を覗かせています。

堀場製作所のこれまでの業績を牽引してきたのは、ガソリン車やディーゼル車などの内燃機関向けの排ガス測定器であり、2018年12月期には連結売上高が初の2,000億円を突破しています。同社の排ガス測定器は世界シェアの約8割を占めており、2015年に発覚した独フォルクスワーゲン(VW)の不正をも暴いたことで知られています。もともと1960年代に肺を調べる医学用ガス分析器を転用して製品化され、1970年の米国における「マスキー法」制定以来、厳しさを増す世界の環境規制を追い風に成長を遂げてきました。しかし、業界全体を巻き込むCASE時代の到来は、現状維持では未来を描けないことを示唆しています。

この大きな転換期こそを「商機」と捉えた堀場会長は、2015年に約140億円を投じて、それまでの主力事業とは畑違いのホリバ・マイラを買収するという先手を打ちました。当時、社内には反対意見もあったと言いますが、会長は「技術の潮目に強いのがホリバ。転換期こそが商機となる」と断言しています。現在、ホリバ・マイラは「新たなビジネスのインキュベーター(事業創出の場)」として位置づけられています。自動車事業担当の長野隆史取締役は、「欧州の自動車メーカーの先端ノウハウやデータが集まってくる。そこからビジネスを生む」と述べ、車載関連の設備投資やM&A(合併・買収)に今後5年間で300億円を投じる計画で、成長のスピードをさらに加速させる構えです。

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「ケイレツ」を超える協業と独自の企業文化

ホリバ・マイラの技術を生かすため、同社は2019年秋をめどに、主力拠点である「ホリバ・ビワコ・Eハーバー」(滋賀県大津市)に約13億円を投じた新施設「セルゼロ」の国内稼働を目指しています。これは「内燃機関から電動化に対応するバッテリーなど一貫して試験評価できる国内唯一の設備」(長野取締役)であり、世界最高水準の「測定」技術で手にするデータの価値が、同社の未来を切り開く鍵となります。

今や「『ケイレツ』だけでは生きていけない時代となる」という言葉が、自動車部品大手のケーヒンの一瀬勝樹主席技師長から聞かれるように、業界の垣根を超えた連携が重要です。堀場製作所は、ホンダ系の部品大手ケーヒンと電気自動車(EV)向け駆動システムの開発に乗り出しており、自動車の中核部品を委託開発するという異例の取り組みを通じて、測定器を売るだけでなく、顧客と二人三脚で新たなビジネスを創造しようとしています。これは、従来の受動的な「取引」関係から、能動的な「共創」関係へと進化しようとする、同社の強い意志の表れと言えるでしょう。

1945年に京都大学在学中の雅夫氏が創業した堀場製作所は、「大学発スタートアップ」の草分け的存在でもあります。雅夫氏は1970年代から「配当性向3割」や「週休3日制」などを他社に先駆けて提唱し、「おもしろおかしく」という一風変わった社是を掲げてきました。これは、現場が「やらされている」という感覚を持たず、社員一人ひとりから独創的でユニークなアイデアが湧き出ることを狙ったものですが、同時に利益を株主や社員に還元するという徹底した合理主義の裏返しでもあります。このユニークな社風が、新しい時代への柔軟な対応を可能にしているのです。

堀場厚会長が1992年に3代目社長に就任して以来、同社はM&Aなどで急拡大し、従業員数は約8,000人まで膨れ上がっています。そのうち6割が外国人というグローバル企業へと変貌を遂げ、社員は自社への誇りを込めて自らを「ホリバリアン」と称します。役員を愛称で呼ぶフラットな企業風土も特筆すべき点であり、堀場会長は「ホリさん」と呼ばれ、社内行事では若手従業員と役員が気さくに意見を交わせる環境があります。2014年には多様性を推進する「ステンドグラスプロジェクト」を導入し、「Joy & Fun(おもしろおかしく)」をグローバルに深く根づかせようと挑戦しています。誰もが活躍でき、働きやすい組織を作り上げることで、技術を磨き上げ、ニッチな領域を掘り下げて持続的な成長につなげるという創業の精神が、CASEの荒波を乗りこなす鍵となるに違いありません。

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