2019年07月25日、南日本銀行の新たなリーダーとして、斎藤真一氏が6月末に頭取へと就任されました。斎藤頭取が掲げるのは、画一的な「総合金融」からの決別と、地域の中小零細企業に寄り添う「密着型金融」への回帰という非常に大胆な方針です。長引く低金利や異業種の参入といった荒波の中、地方銀行が生き残るための処方箋を斎藤頭取は明確に描き出しています。
SNS上では、この「原点回帰」という言葉に対して、「これこそ地域銀行が本来果たすべき役割だ」といった共感の声や、「決済分野で外部と連携するという柔軟な姿勢に期待したい」といった前向きな反応が数多く見受けられます。既存のやり方に固執せず、変化を恐れない新頭取のスタンスは、地元経済の活性化を願う多くの人々から注目の的となっている様子が伝わってきます。
「何でも屋」からの脱却と外部連携による質の向上
斎藤頭取は、現在の銀行業界がメガバンクから信用組合まで、どこも同じような「総合金融サービス」を提供している現状に強い危機感を抱いています。顧客にとって「その銀行でなければならない理由」が失われている今、同行が提供すべき価値を厳選し、コストに見合う収益と顧客満足度を両立させる「質の高いサービス」へと舵を切ることが不可欠であると説いています。
特にキャッシュレス化が進む決済分野などは、IT企業などの異業種が優れたサービスを次々と展開しています。自前主義にこだわらず、優れた外部の専門会社へ顧客を繋ぎ、その対価として手数料を得るというビジネスモデルへの転換は、非常に合理的で現代的な判断と言えるでしょう。強みを伸ばし、弱みはプロに任せるという割り切りは、今後の地方銀行経営のスタンダードになるかもしれません。
デジタル移行で見えた無駄と業務効率化への挑戦
同行では2019年01月に、九州の第二地方銀行6行で共同運用している基幹システムの更新を行いました。42年間使い続けた旧来のシステムから、最新の「クラウド型システム」へと移行したのです。クラウド型とは、自社でサーバーを抱えずにインターネット経由で機能を利用する形態を指し、柔軟な拡張性やコスト削減、強固なセキュリティ環境を構築できるのが大きな利点です。
このシステム刷新の過程で、事務効率化を目的としたサブシステムがありながら、実際には人手に頼るという非効率な実態が浮き彫りになりました。斎藤頭取はこの状況を重く受け止め、自らがリーダーとなって業務プロセスの抜本的な改善に乗り出す構えです。2020年度から始まる「第5次経営強化計画」に向け、具体的な数値目標を掲げて不退転の決意で臨むその姿には、並々ならぬ覚悟が感じられます。
相互銀行の魂を継承し「事業性評価」のプロへ
南日本銀行のルーツは、かつて資金調達が困難だった中小企業を支えた「相互銀行」にあります。斎藤頭取は、取引先の商品がどう動き、お金がどう流れているかを肌感覚で把握していた当時の精神を大切にしています。決算書などの「財務諸表」の数字だけで判断するのではなく、ビジネスの内容そのものを評価して融資を行う「事業性評価」の重要性が、今まさに問い直されています。
若手行員が現場に足を運び、取引先の一員となったつもりで事業を見つめる。こうした地道な努力こそが、将来的に大きな強みとなると私は確信しています。また、赤字事業となっているATMについては、コンビニATMの普及を踏まえて役割を終えつつあると冷静に分析する一方で、店舗は「地域のインフラ」として維持する方針を示しています。このバランス感覚こそが、地域に根ざす銀行の誠実な姿ではないでしょうか。
私自身、斎藤頭取が掲げる「質重視」へのシフトは、厳しい環境下にある全ての地方企業にとって希望の光になると考えています。鹿児島銀行などの第一地銀とは異なる独自の立ち位置を明確にし、他行との経営統合に頼らず自立した道を歩もうとする姿勢は非常に勇気づけられるものです。地域と銀行が文字通り「WIN-WIN」の関係を築けるのか、南日本銀行の新たな挑戦から目が離せません。
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