🌾**「つや姫」ブランドに潜む影:減反慣行の“呪縛”が農業経営を阻む?**【山形県産米の今】

近年、お米の消費量は減り続けているにもかかわらず、都道府県にとっての**「ブランド米」開発は、いまだに地域の誇り、すなわちメンツをかけた重要な課題となっています。この10年ほどの間に数多くの新品種が誕生しましたが、その中でも抜群の評価と人気を誇っているのが、山形県が誇る「つや姫」でしょう。「つや姫」は、その名のとおり美しいツヤと際立つおいしさで、食卓に喜びを届けています。

しかし、このトップブランドを守り育てるため、山形県が設定している栽培条件が、一部の農家にとって重い足かせとなっている現状が見えてきました。県は「つや姫」の品質劣化を防ぐため、高温になりやすい地域の栽培を避けるなど産地を限定しています。さらに、市場の需要に基づき、毎年、生産する面積の上限も厳格に設定し、これを満たしたJA**(農業協同組合)や農家に面積を配分しているのです。

ここで首をかしげたくなるのが、その条件の一つとして、「減反」、すなわち「米の生産数量目標の順守」が事実上、求められているという点です。減反政策とは、米の生産を抑制するための国の政策で、1970年(昭和45年)にスタートしました。戦後、国が生産者から高値で米を買い上げ、消費者に安値で売るという仕組みから、1960年代に入って米が余るようになり、国が抱える逆ザヤ(売値よりも買値の方が高いことによる赤字)の増大を防ぐのが当初の大きな目的でした。

この政策はその後、票田(特定の候補者や政党に有利な集票地域)と密接に結びつき、米価を維持する機能も果たすようになりました。国は、この減反政策を実効あるものとするため、毎年「生産数量目標」を設定し、都道府県に割り当てて、目標達成の農家には補助金を支給してきたのです。

この国の減反政策は、2017年(平成29年)をもって国による生産数量の配分が終了し、いわゆる**「減反廃止」が実現しました。2018年(平成30年)以降は、国からの配分はなくなり、各都道府県が独自に生産の目安を設け、市町村に配分する形へと移行しています。重要なのは、この生産の目安はあくまでも目安であり、農家や産地には、これを守る義務は一切ないということです。

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ブランド米を守るための「事実上の義務」

ところが、山形県では「つや姫」という強力なブランドを活用することで、この減反を半ば強制し続けている節があるのです。県が定めた「平成31年産つや姫生産者募集要項」を確認すると、栽培できる条件として、県の定めた「生産の目安に協力すること」を「基本とする」と記しています。この「基本とする」の意味を県産米ブランド推進課に尋ねたところ、「(生産の目安は)守らなくても問題ないということ」との回答でした。

しかし、「これまで、この目安を守らなかった人で『つや姫』を栽培できた人はいたのか」とさらに問うと、答えはなんと「いない」とのこと。これは、生産の目安に従わなければ、事実上「つや姫」を栽培することができないということを意味しています。自ら積極的に販路を開拓し、米の生産を拡大したいと考える意欲ある農家は、「つや姫」のブランドを守るための“縛り”によって、その増産を断念せざるを得ない状況に追い込まれていると聞きます。

県内のほかの農家の方々からも同様の「経営の自由を阻害されている」という悩みの声が複数寄せられています。さらに、山形県は2018年(平成30年)から本格的な普及を始めた新品種「雪若丸」の栽培条件にも、この生産数量目安の順守という、事実上の義務と同じ条件を盛り込んでいるといいます。これらの状況に対し、SNS上では「農家の頑張りを活かせていないのでは」「ブランドを守るのはわかるが、時代に逆行している」といった、県の施策への疑問の声が上がっているようです。

育種技術が浮かばれない現状

私自身の意見としては、育種技術とは、本来、農業の経営を発展させ、農家の収入を向上させるためにあるべきものです。山形県が長年の努力で築き上げた「つや姫」や「雪若丸」という素晴らしいブランドは、本来、農家が攻めの経営を展開するための強力な武器となるはずです。ところが、現状のような「生産の自由を奪う」形での運用が続くならば、せっかく生み出された画期的な育種技術が浮かばれないと言えるでしょう。

米の消費が低迷する今こそ、高品質なブランド米を武器に、意欲ある農家が積極的に生産を拡大し、国内外の市場へと進出できるような、より柔軟で未来志向**の体制へと移行していくべきではないでしょうか。ブランド保護と農家経営の発展という二つの命題を両立させるための、新たな道筋を模索するときがきているのでしょう。

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