【2019年最新】ホルムズ海峡の緊迫で原油供給に危機?日本が直面する「エネルギーの隘路」と回避不能なリスクの正体

2019年07月26日、中東の動脈であるホルムズ海峡がかつてない緊張に包まれています。イランによるイギリス船籍タンカーの拿捕という衝撃的なニュースは、世界中を駆け巡りました。SNSでは「ガソリン代が跳ね上がるのではないか」「日本への影響が心配」といった不安の声が相次いでいます。世界の原油輸出の3割から4割が集中するこの海域の混乱は、私たちの生活に直結する深刻な事態と言えるでしょう。

ホルムズ海峡は、ペルシャ湾の入り口に位置する「シーレーン(海上輸送路)」の要衝です。シーレーンとは、国家の生存に不可欠な物資を運ぶ海上ルートを指しますが、現在の状況はまさにこの生命線が脅かされている状態です。アメリカエネルギー情報局(EIA)も、ここを「世界で最も重要な石油輸送の難所」と位置づけて警告を発しています。イランの精鋭部隊である革命防衛隊が展開する中、各国の緊張はピークに達しています。

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迂回ルートの限界と「経済性」の壁

海峡が封鎖されるリスクを避けるため、陸上のパイプラインによる迂回が検討されますが、現実は甘くありません。現在、サウジアラビアを横断するルートとアラブ首長国連邦(UAE)を抜ける2つの主要なパイプラインが存在します。しかし、これらが追加で受け入れられる輸送量は、海峡を通る原油のわずか2割程度に過ぎません。つまり、残りの8割については、現状では代替する手段が物理的に存在しないということなのです。

なぜもっとパイプラインを作らないのかという疑問も浮かびますが、そこには巨大な建設コストという壁が立ちはだかります。地政学的なリスク、つまり特定の地域における政治的・軍事的な緊張がもたらす危険を考慮したとしても、タンカーによる海上輸送の方が圧倒的にコスト効率が良いと判断されてきました。この経済合理性が、皮肉にも現在の「逃げ道のない状況」を作り出してしまった一因であると私は考えます。

日本の石油元売り業界からは、現状を「ロシアンルーレットのようだ」と危惧する悲痛な叫びが漏れています。タンカーの保険料が高騰し、コスト負担が増大する中でも、中東産原油への依存をすぐには断ち切れません。日本には2019年05月末時点で232日分の石油備蓄があるとはいえ、これはあくまで一時的な凌ぎに過ぎません。特定の地域に依存しすぎることの危うさを、私たちは今、改めて突きつけられています。

日本が抱える「設備」という構造的課題

「中東がダメならアメリカ産を買えばいい」という意見もSNSで見かけますが、事態はそう単純ではありません。日本の製油所は、粘り気のある「中重質油」という特徴を持つ中東産の原油を効率よく精製するように設計されています。これに対して、アメリカ産などは比重が軽い「軽質油」が多く、これらを精製するには設備の改修や調整に莫大な手間と費用が必要となります。日本のエネルギー構造は、一朝一夕には変えられないのです。

国際エネルギー機関(IEA)は、2019年07月22日に必要に応じた備蓄放出の構えを見せ、市場の動揺を抑えようとしています。しかし、抜本的な解決にはイラン情勢の安定が不可欠です。エネルギー自給率の低い日本にとって、この問題は決して対岸の火事ではありません。今こそ、特定のエネルギー源やルートに頼り切らない、強靭なエネルギー安全保障のあり方を国全体で真剣に議論すべき時が来ているのではないでしょうか。

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