【地域活性化の秘訣】しなの鉄道が仕掛ける!観光客850万人を呼び込む「軽井沢駅再開発」と「沿線連携」の衝撃戦略

長野県を走る第三セクター鉄道「しなの鉄道」は、鉄道事業に依存する体質から脱却し、地域に根差した会社へと変貌を遂げようとしています。2018年度決算では営業収益の約9割を鉄道事業が占めていましたが、玉木淳社長は「鉄道に特化した会社から、周辺事業の強化で地域の足である鉄道を守り抜く会社へ」という明確な方針を打ち出しているのです。これは、運賃収入の減少という避けられない課題を、不動産活用などの非鉄道部門を強化することで補うという、極めて戦略的な試みと言えるでしょう。

この戦略の核となるのが、長野県有数の観光地である軽井沢駅周辺の再開発です。軽井沢町は年間およそ850万人もの観光客を集めますが、その約8割が日帰りであり、さらにしなの鉄道の利用客は5%以下にとどまっていました。しなの鉄道は、この巨大な集客力を沿線へと送り込む**「周遊の起点」**となることを目指しています。軽井沢からお客さまを沿線に誘致できれば、地域全体の活性化に繋がり、軽井沢町にとっても念願の日帰り観光地からの脱却が期待できるはずです。この取り組みは、単なる鉄道会社の経営努力に留まらず、地域経済に深く関わる社会的な挑戦だと私は考えます。

まず着手されたのが、旧軽井沢駅舎の活用です。1997年の北陸新幹線(長野経由)開業に伴って一旦取り壊された旧駅舎は、明治43年(1910年)当時の姿に復元され、旧軽井沢駅舎記念館として使われていました。しなの鉄道はこれを軽井沢町から借り受け、2017年10月に駅舎として再生させたのです。1階には改札口や待合室に加えてカフェがオープンし、かつて貴賓室であった2階は観光列車「ろくもん」の乗客ラウンジに生まれ変わりました。さらに、しなの鉄道のホームとはウッドデッキで結ばれ、有料待合室の「森の小リスキッズくらぶ」では、お子さまが電車の発着を見ながら遊べる遊具や絵本が設置されており、家族連れにも嬉しい工夫が施されています。

**「軽井沢駅再開発」の勢いは止まりません。2018年3月には、遊休化していた東側のホーム跡などに遊戯施設「森の小リスキッズステーション」**が開設されました。ここには約120メートルの軌道を走るミニトレインや、かつての国鉄信越本線時代から活躍した急行形電車「169系」の車内で鉄道玩具「プラレール」で遊べるコーナーがあります。「プラレール」はタカラトミーが製造・販売する鉄道おもちゃの代名詞で、子どもの鉄道ファンを育むアイテムとして日本中で親しまれています。この施設には沿線の農産物を取り扱うマルシェも併設されており、親子連れが鉄道を通じて地域と触れ合える場を提供しています。

そして、今後の大きな目玉は、駅東側の約2ヘクタールもの遊休地開発構想です。しなの鉄道は大手不動産会社の三菱地所とタッグを組み、長野県や軽井沢町との協議を経ながら2020年度中に構想をまとめる計画です。ここにはホテル、飲食、物販といった多様な施設が建設される見通しで、軽井沢駅周辺の周遊性を高めることが期待されます。これにより、軽井沢を訪れた観光客が「泊まりたくなる」「もっと奥へ行きたくなる」魅力が生まれるに違いありません。

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地域住民と歩む「共創」のモデルケース

しなの鉄道は軽井沢以外でも、遊休スペースの積極的な活用を進めています。北長野駅や上田駅といった駅の空きスペースにコンビニエンスストアを誘致するなど、着実に収益源の多様化を図っている様子が伺えます。また、軽井沢駅から沿線への送客努力も光ります。例えば、6つのワイナリーがオープンし、**「千曲川ワインバレー」というブランドを形成する東御市では、夏場などに田中駅を起点とするワイナリー周遊バスが運行されました。これに合わせて、しなの鉄道は軽井沢駅と田中駅の往復乗車券にバスチケットをセットにした割引切符を発売し、観光客が気軽に沿線へと足を延ばせるよう促しています。

そして特筆すべきは、沿線自治体や住民が、しなの鉄道との連携に非常に前向きであるという点です。その代表例が、長野市北部にある北しなの線の三才駅でしょう。この駅周辺には目立った観光地がないにも関わらず、年間およそ2万人もの来訪者が全国から訪れます。彼らの中心は、お子さまが3歳になった記念写真を駅で撮影したいという家族連れです。「三才」という駅名標の前で記念写真を撮ることが、人生の節目を祝うイベントとなっているのです。

この家族連れをもてなしているのは、駅員ではなく、地元住民ら約40人で構成される任意団体「ウエルカム三才児プロジェクト」のボランティアの皆さまです。彼らは撮影用の駅長帽子を貸し出したり、駅名標の前で写真のシャッターを押したりするサービスを提供しています。さらに、地域の高齢者が手作りした写真台紙や、おもちゃのコマを無料でプレゼントするほか、キーホルダーなどの手作りグッズも販売し、小さな駅に温かいホスピタリティを提供しています。玉木社長も「地域外からもリピーターが訪れる素晴らしいモデル。一緒に盛り上げていければ」と絶賛しており、鉄道会社と地域住民が手を取り合って成功を生み出す「共創」のモデルケースと言えるでしょう。

2019年6月6日に報じられたこれらの取り組みは、鉄道会社が単に「列車を運行する」という役割に留まらず、地域資源を掘り起こし、観光客を誘致し、地域経済を牽引する「地域商社」**のような存在へ進化できる可能性を示しています。しなの鉄道の挑戦は、全国の第三セクター鉄道や地方創生に取り組む自治体にとって、大きな希望となるに違いありません。SNSでも、「三才駅の取り組みは感動的」「軽井沢からの観光導線ができるのは素晴らしい」といった好意的な反響が見られ、多くの人がこの地域活性化の新しい試みに注目していることが分かります。

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