アジアの屋根とも称されるヒマラヤ山脈。そこから流れ出す恵みの水が、今、かつてない危機に瀕していることをご存知でしょうか。2019年07月27日、専門家であるピーター・エンゲルク氏とデビッド・マイケル氏は、この地域の水資源を保護するための画期的な提言を行いました。中国やインドといった、世界最大級の人口と経済成長を誇る国々は、ヒマラヤを水源とする河川の恩恵をダイレクトに受けています。その流域で育まれた食料を糧にする人々は、実に30億人以上にものぼると推測されているのです。
しかし、現状は決して楽観視できるものではありません。環境の悪化や国家間での激しい水争い、さらには不十分な管理体制によって、命の源である水流が途絶えかねない事態に陥っています。こうした背景から、アジアの流域諸国が手を取り合い、環境保護に特化した「ヒマラヤ評議会」を創設すべき時期が到来したといえるでしょう。特にインド、中国、パキスタンの水消費量は世界でもトップクラスであり、経済発展に伴ってその需要はますます膨れ上がっています。限りある資源を巡る緊張感は、日々高まっているのが実情です。
アジア開発銀行が発表した予測によれば、この地域の水使用量は2050年までに30%から40%も増加する見込みです。一方で、地球温暖化の影響により、水源となる氷河は刻一刻と縮小を続けています。氷河とは、長年にわたって降り積もった雪が氷の塊となり、ゆっくりと流れる「天然のダム」のような存在です。これが失われれば、長期的には河川の流量が劇的に減少することは避けられないでしょう。需要が増える一方で供給が減るという、極めて深刻な需給のアンバランスが予測されているのです。
SNS上では、このニュースに対して「30億人の飲み水がなくなったら、世界的な難民問題に発展するのではないか」といった不安の声や、「経済発展も大事だが、環境を壊しては元も子もない」という危機感を募らせるコメントが多く見受けられます。ヒマラヤの水資源は、国境をまたいで複雑に絡み合っているため、一国の努力だけでは解決できないのが難しいところです。むしろ、利害の対立が深刻化し、紛争の火種になることさえ危惧されています。今こそ、対話と協力を通じた新しい枠組みが求められているのではないでしょうか。
北極評議会に学ぶ、国家を超えた協力のカタチ
この難局を乗り越えるためのヒントは、意外にも北極に隠されています。1996年に設立された「北極評議会」は、領土問題を抱える国同士であっても、環境保護や持続可能な開発という共通の目標に向けて建設的に協力できることを証明してきました。ヒマラヤ周辺の国々も、この成功例を手本にして、独自の協議体を構築する計画を主導すべきでしょう。世界で最も重要な地域の一つであるヒマラヤが持続的に発展していくことは、アジアだけでなく、人類全体の共通利益に直結する重要なミッションなのです。
私自身の見解としても、水資源を「奪い合う対象」から「共に守る財産」へと意識を変えることが、21世紀のアジアにおける平和の鍵になると確信しています。もちろん、流域国の努力は不可欠ですが、気候変動が根本的な原因である以上、地域内だけの対策では限界があるのも事実です。膨大な資金や専門的な人材の確保といった課題は、世界全体で進める温暖化対策の一環として捉え直さなければなりません。国際社会が一体となって、ヒマラヤの氷河を守るための具体的なアクションを起こす必要があります。
果たして北極と同じ枠組みが、文化や政治体制の異なるヒマラヤ地域でどこまで機能するのか、議論の余地は確かに残されているでしょう。しかし、2019年07月27日時点でのこの提言は、迫りくる水危機に対して私たちが取るべき「最適解」を指し示しているように思えてなりません。未来の子供たちに豊かな水を残せるかどうかは、今を生きる私たちの決断にかかっています。国境を超えた英知を結集し、ヒマラヤという母なる水源を守り抜こうではありませんか。
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