損害保険業界のリーディングカンパニーである東京海上日動火災保険が、自社の働き方を抜本的に見直す大きな一歩を踏み出したようです。2019年7月28日、同社は「裁量労働制」の対象者を大幅に削減する方針を明らかにしました。このニュースは、ホワイトカラーの働き方に一石を投じる出来事として、今まさに注目を集めています。
ここで改めて解説しますと、裁量労働制とは、実際の勤務時間に関わらず「あらかじめ決めた時間分を働いた」とみなして給与を支払う制度を指します。仕事の進め方を個人の裁量に委ねることで、効率化や柔軟な働き方を後押しする目的がありました。しかし、自由度が高い一方で、業務量が多い場合には長時間労働を隠す要因になりかねないという懸念も、以前から指摘されていたのです。
同社は2020年にも、この制度を適用する従業員を現在の4分の1にあたる約500人規模まで一気に絞り込む見通しです。労働組合との合意を経た上で、営業部門や保険金の支払い業務を担当する課長代理、さらには支社長代理級の社員を対象から除外されます。これまでの「裁量」という名の自己管理から、より透明性の高い「時間管理」へと舵を切る判断を下したと言えるでしょう。
現場の声と「働き方改革」の真の目的とは
この決定を受けて、SNS上では「これこそが本当の意味での働き方改革ではないか」と称賛する声が次々と上がっています。大手企業が率先して制度の課題に向き合おうとする姿勢に、期待を寄せるビジネスパーソンは少なくありません。その一方で、「制度が変わっても業務量が減らなければ、結果的に隠れ残業が増えるだけだ」と冷静に警鐘を鳴らす投稿も確認できました。
編集部としては、今回の東京海上日動の決断を、従業員の健康を守るための極めて健全な「守りの一手」であると高く評価しています。裁量という言葉は響きが良いですが、それは会社側が社員の負担を正確に把握できているという信頼関係があってこそ成立するものです。過度な負担が生じやすい専門職や営業職において、あえて管理を適正化することは、長く働き続けられる環境作りに寄与すると期待されます。
2020年という節目に向けて、日本の雇用環境は大きな転換点を迎えているようです。東京海上日動が示したこの新しい方針が、他の損害保険大手や日本企業全体にどのような影響を及ぼすのか、その波及効果に注目が集まっております。働く一人ひとりが健やかに、かつ高いパフォーマンスを発揮できる社会の実現に向けた、非常に意義深い取り組みと言えるでしょう。