🚣‍♀️水と緑のオアシス・鳥屋野潟を変える!新潟デザイン会社が仕掛ける市民参加型プロジェクトの魅力と秘密

新潟市の中心地、新潟駅の南に広がる市民の憩いの場、鳥屋野潟(とやのがた)を舞台に、今、大きな交流の輪が広がっています。この動きの中心にいるのは、地元のデザイン会社U・STYLE(ユースタイル)です。かつてシジミが獲れ、子どもたちの格好の遊び場だったという潟の歴史を次世代に伝える活動からスタートしたプロジェクトは、現在、マルシェや食の企画、体験イベントへと進化し、多くの人々を魅了しています。

プロジェクトのきっかけは、鳥屋野潟周辺で20年間にわたり清掃活動を続けてきたという一人の男性との出会いでした。男性から「昔は潟の端から端まで泳ぎきったら一人前と言われた」など、潟が暮らしに深く溶け込んでいた頃の生き生きとした話を聞き、U・STYLEの松浦和美代表は、その記憶を「なんとか形にして後世に伝えたい」という強い想いを抱いたと言います。さらに2011年3月11日に発生した東日本大震災が、地域に根付く文化や歴史を「語り継ぐことの重要性」を強く再認識させたのでしょう。

その想いを実現するため、U・STYLEは、鳥屋野潟の周辺で育った70~80代の男性数名から昔の体験談を丁寧に聞き書きし、2012年に『潟ボーイ’s』という一冊の冊子にまとめました。この冊子は、地元の商工団体からも支援を受け、周辺の複数の小学校に配布されました。この取り組みは、さらに『環境編』『新世代編』といったテーマで毎年制作が続けられ、冊子に登場した語り部たちが学校で直接授業を行うなど、地域への波及効果を生んでいます。地元の中学生がU・STYLEの事務所で職場体験を行うなど、若者たちを巻き込む「まちづくり人づくり」の輪が着実に広がっているのです。

潟をさらに多くの人が集う交流の場にしたいという想いから、2015年には「潟マルシェ」が始まりました。地元のコーヒー店が昔の水門の名前を冠したオリジナルコーヒーを開発したり、潟周辺の農家が採れたての新鮮な野菜やパンを販売したりと、地域と食の魅力を結びつけています。マルシェは8月を除く5月から10月までの毎月第2日曜日に開催されており、当初は100人程度だった来場者数が、今では1,000人を超える賑わいを見せているそうです。地元の生産者と消費者が直接触れ合う場として、このマルシェは鳥屋野潟エリアの新しい顔になりつつあるでしょう。

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地元食材を活かした食の企画と体験イベントの広がり

食を通じた魅力発信はマルシェに留まりません。2016年からは、冬の期間限定企画「ウィンターキッチン」がスタートしました。この企画では、鳥屋野潟で獲れるコイやボラといった魚、そして小松菜の一種で地元に伝わる伝統野菜である「女池菜(めいけな)」を活用した料理を提供しています。女池菜は、新潟市の女池地区で江戸時代から栽培されているアブラナ科の在来種で、その独特な風味と食感が魅力の伝統野菜です。2月から3月までの期間中、潟周辺のイタリア料理店、和食店、カフェなど11店舗が参加し、それぞれが創意工夫を凝らしたメニューを提供しています。さらに、同じ食材を使って親子料理教室を開く小学校も現れ、食育の場としても注目を集めています。

また、ファミリー層を強く惹きつけているのが、2019年で3年目を迎える「とやの潟アウトドアピクニック」です。これは親子で鳥屋野潟周辺を探検する体験型のワークショップで、アウトドアショップや新潟市の施設が協力し、カヌー体験や昆虫探し、森のランドアートなど、自然に触れる様々なアクティビティが用意されています。定員は10組と限定的ですが、毎回定員を上回る応募があるという人気の高さです。水辺の自然をフィールドにした体験活動は、子どもの好奇心を刺激し、家族の思い出を作る素晴らしい機会を提供していると言えます。

この一連の地域に根ざした活動は高く評価されており、2018年には新潟市の12次産業化(田園資源活用)優良事例表彰で、最も栄誉ある優良事例賞を受賞しました。松浦代表は、こうした様々な活動を通じて鳥屋野潟エリア全体の価値を高め、「潟に関わりたい、この場所を応援したいと思う人々をさらに増やしていきたい」と熱意を語っています。潟の歴史を語り継ぎ、地元食材を活かし、そして市民を巻き込む体験の場を提供するU・STYLEのプロジェクトは、地域資源の活用とまちづくりにおいて、非常に示唆に富む成功事例の一つと言えるでしょう。

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