2020年4月に入社する新卒者の採用計画をめぐり、埼玉県内企業の間で採用の温度差が鮮明になっています。この状況は、働き手を探す求職者にとって、企業選びの新たな視点を提供するかもしれません。株式会社埼玉りそな産業経済振興財団が2019年4月中旬に実施した採用状況に関する調査結果から、その実態を詳しく見ていきましょう。
調査によると、2020年度の採用計画について、前年度(2019年度)よりも**「増加」を見込むと答えた企業の割合は17.1%に上りました。一方で「減少」**と回答した企業は4.4%にとどまり、全体としては依然として採用に前向きな姿勢がうかがえます。しかし、この数字を企業規模別に見ると、非常に興味深い傾向が浮かび上がってくるのです。
具体的には、大企業の動向が注目されます。大企業では「増加」がわずか6.3%だったのに対し、「減少」と回答した割合は18.8%に達しました。これは、大企業においては採用人数を絞り込む動きが優勢となっている現状を示していると言えるでしょう。これまでの「大企業=安定した大量採用」というイメージに変化が見られるのかもしれませんね。
それに対して、中小企業は非常に高い採用意欲を示しているのが特徴です。中小企業で「増加」を計画しているのは18.0%と、大企業を大きく上回っています。反対に「減少」は3.2%に過ぎません。この傾向の差は、中小企業が事業拡大や人材の若返りを図るために、積極的に新卒採用に乗り出していることを強く示唆していると考えられます。
業種別の内訳については、製造業と非製造業のどちらの分野においても、採用の「増加」が「減少」を上回っているとの結果が出ており、特定の産業に偏ることなく、幅広い分野で人材ニーズが高まっている状況が確認できます。この傾向は、特に専門性の高い分野や、ITなどの成長産業においては、今後さらに顕著になる可能性を秘めているのではないでしょうか。
一方、2019年4月入社の新卒者の採用実績を見てみると、全体の51.3%の企業が「ほぼ計画通り」と回答しています。この数値は前年の調査と比較して3.5ポイント下がりました。さらに、「やや不足」「大幅に不足」を合わせた割合は、前年比で3.5ポイント増の48.7%に達しているのです。これは、企業のおよそ半数が新卒採用の目標達成に苦慮している実情を物語っています。少子化の影響や、学生の企業への選好度の変化など、複数の要因が絡み合っているのでしょう。
この調査は、埼玉県内の951社を対象に行われ、そのうち211社から回答を得たものです。SNSでは、「大企業より中小企業のほうがチャンスが増えるかも」「就活の戦略を見直すべきだ」といった、就職活動における新たな可能性に言及する声や、企業の採用難に対する意見が多く見受けられました。この状況は、個々の求職者にとって、企業の規模にとらわれず、より自分の価値観やキャリアプランに合った企業を見つけ出す絶好の機会と捉えられるでしょう。
私見を述べさせていただきますと、現在の採用市場は、単なる「売り手市場」という言葉だけでは捉えきれない、複雑な変化の中にあります。大企業が採用を抑制し、中小企業が採用意欲を高めている状況は、採用の主戦場がシフトしていることを示していると言えます。学生の皆さんは、企業の規模にとらわれず、自身の成長や経験を重視し、積極的に中小企業を含む多様な選択肢を検討してみることをお勧めしたいですね。