🔒データ保護はグローバル企業の生命線! トヨタ・IBMなど世界連合がG20に提言する「DFFT」実現への道

世界を股にかけて事業を展開するグローバル企業にとって、企業の根幹をなすデータの取り扱いと保護は、もはや死活問題といえるでしょう。2019年6月7日、日本の巨人であるトヨタ自動車や米国のIT最大手であるIBMをはじめとする国内外のリーディングカンパニーが、事業で利用する大切なデータの保護を目的とした国際的な企業連携を結成したことが明らかになりました。この連携は、同月末に日本で開催されるG20(主要20カ国・地域首脳会議)を機に、データの国際的なルール形成を加速させる動きに合わせる形で、進出先の政府によるデータの開示強要などを阻止するための共同提言を、すでに日米両政府に提出しています。

この提言の背景には、国際的に事業を展開する企業が、国境を越えて安心してデータをやり取りし、活用できるような環境を緊急に整備したいという強い願いがあります。提言には、トヨタやIBMのほかにも、米国の物流大手フェデックス、情報サービスを提供するトムソン・ロイター、IT機器のシスコシステムズ、金融大手のシティグループとマスターカード、欧州の航空機製造大手エアバスなど、合計15社が名を連ねています。さらに、今後10社程度がこの取り組みに加わる見込みで、まさに企業連合によるデータ保護への機運が世界的に高まっているといえるでしょう。

安倍晋三首相は、今回のG20で、企業が国境を越えて自由にデータをやり取りできるようにする構想「DFFT(Data Free Flow with Trust)」、すなわち「信頼ある自由なデータ流通」に向けたルールづくりを世界に訴える予定です。今回の企業側の提言は、まさにこのDFFTの実現を、世界中で活動する企業側からも強力に後押しする役割を果たすことになるでしょう。たとえば自動車メーカーは、日本で開発した極めて重要な技術情報や設計データを、アメリカや中国の工場に送り生産を行うなど、日々の業務で機密性の高いデータを常にやり取りしています。また、世界各地の工場から集まる操業データを一元的に管理し、IT(情報技術)を駆使して業務効率を向上させるような動きも活発化しています。

この企業連合による提言は、各国政府に対して、企業がこうしたデータを自由かつ安心してやり取りできるような環境を整えることを強く求めています。具体的には、ソフトウェアを動かす基盤となるソースコード、ソフトウェアの動作を詳細に規定するアルゴリズム、そして機密情報を守るための暗号技術など、企業の競争力を支える極めて重要なデータの保護を主張しているのです。進出先の政府などが、これらの機密情報の開示を強要するような行為をしないよう強く要望しています。

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企業の競争力を守り抜く!「データ開示の強要」と「データローカライゼーション」への警鐘

こうした企業の重要データは、製品やサービスそのものの競争力を決定づける要素であり、もし政府を介して現地企業に漏洩してしまうようなことがあれば、その企業にとって計り知れない打撃となる恐れがあるからです。さらに提言では、進出先の政府が企業に対して、データをその国の中に保存したり処理したりすることを義務付ける「データローカライゼーション」とも呼ばれる規制を禁止することも求めています。企業がデータを国外に持ち出せなくなってしまうと、他の国での事業展開にデータを役立てるなどのグローバル戦略が妨げられる可能性があるからです。

提言された内容の一部は、すでにTPP(環太平洋経済連携協定)日欧EPA(経済連携協定)といった国際的な枠組みでルール化されていますが、今回の提言では、世界の160以上の国や地域が加盟するWTO(世界貿易機関)という、より大きな舞台でも同様のルールを整備することを促しています。企業側がこれほどまでに強い危機感を抱き、大規模な国際連携を組んで提言を行う背景には、特定の国、特に中国の存在があると考えられます。

中国は、外国企業が自国の市場に参入することを認める代わりに、企業が保有するデータへの統制を強めています。例えば、進出する企業に対しソースコードの開示を要求できると定めているほか、中国国内の顧客情報を蓄積するサーバーを国内に設置することを要求しており、これが進出企業にとって非常に大きな不安要因となっているのです。今回の提言は、こうしたデータ統制の動きを「けん制」する意図があるのは明らかでしょう。

また、この提言は「規制は透明で予測可能であるべきだ」とも訴えており、各国がデータを巡る制度や手続きの詳細を明確に開示すべきであるという考えを示しています。私は、国際的なビジネスにおいて、ルールの「透明性」と「予測可能性」は必須の要素だと強く感じています。企業が安心して投資し、イノベーションを起こすためには、いつ、どのようなデータが、どのような理由で保護され、また開示を求められる可能性があるのかが、明確でなければならないからです。企業連合に参加した各社は、今後も主要国政府との対話を重ね、ルールづくりのための意見交換を継続していくとしています。

今回のニュースは、SNSでも大きな反響を呼んでおり、「企業の知的財産権を守るために必要不可欠な動きだ」「中国のデータ統制に対抗する姿勢を評価したい」といった肯定的な意見が多く見受けられました。また、「デジタル経済の進展にデータ保護のルール作りが追いついていない現状を象徴している」といった、ルールの早期実現を望む声も目立っています。企業がデータの取り扱いに関して自主的な取り組みを検討することも示されており、政府と企業が一体となって、DFFTの実現に向けた動きが加速していくものと期待できるでしょう。

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