2019年6月6日、米軍横田基地(東京都)の周辺住民およそ1000人が国に求めていた「第2次新横田基地公害訴訟」の控訴審判決が、東京高等裁判所で言い渡されました。中西茂裁判長は、夜間・早朝の飛行差し止め請求は退けたものの、国に対して総額約7億6875万円という巨額の賠償金の支払いを命じており、一審である東京地方裁判所立川支部の判断を支持する形となりました。この決定は、基地周辺に住む人々の切実な被害を司法が重く見た結果と言えるでしょう。
判決文の中で、中西裁判長は、米軍機などが運航されることには「我が国の存立と安全を確保する公共性がある」と認めています。しかし、それと同時に「住民の損害賠償請求権を否定することはできない」と述べ、国の安全保障上の必要性と、平穏な生活を送る権利のバランスについて、非常に難しい判断を示していることが窺えます。騒音被害を受けながら暮らしている住民にとって、この言葉は大きな意味を持つのではないでしょうか。
注目される飛行差し止め請求については、残念ながら棄却されています。特に米軍機に関しては、「国の支配が及ばない」との理由で、そして自衛隊機についても、民事訴訟としては不適法であるとして却下されたためです。飛行そのものを止めることはできなかったものの、被害に対する国の責任を認めるという、一歩踏み込んだ判断がなされたことになります。賠償の対象となるのは、一審と同様に「うるささ指数(W値)」が75以上の地域に住んでいる方たちです。
この「うるささ指数(W値)」とは、航空機の騒音が人に与える影響を評価するために国際的に考案された指標のことです。具体的には、騒音の大きさや継続時間、さらに昼夜の別といった時間帯による感じ方の違いを加味して算出される値で、数値が大きいほど「うるさい」ことを意味します。この訴訟でW値75以上と定められた地域は、まさに生活の平穏が著しく侵害されている深刻なエリアだと理解できるでしょう。
今回の判決に対し、SNS上などでは「国は公共性を理由に個人の生活を犠牲にしすぎではないか」「住民が勝っても飛行差し止めが認められないなら、根本的な解決にならない」といった厳しい意見が寄せられています。一方で、「7億円を超える賠償は画期的」「司法が被害を認めた意義は大きい」と評価する声も上がっており、世論の関心の高さが伺える事態です。私も、安全保障は重要ですが、そこに暮らす人々の健康と生活が守られなければならないと強く感じています。
国の安全保障のために、一部の住民が過大な負担を強いられている現状は、決して看過できるものではありません。司法が賠償という形で被害を認めたことは、国がこの問題から目を背けてはいけないという強いメッセージだと受け止めるべきでしょう。将来にわたる被害への賠償請求や、飛行そのものの差し止めは認められませんでしたが、今回の高裁の判断をきっかけに、国がより積極的な騒音対策を講じる責任が生じたと言えるのではないでしょうか。