野村HDは大幅増益も「国内リテール」に暗雲?証券大手19社の2019年4-6月期決算から見える構造改革の断行と未来図

2019年07月31日、日本の金融市場を牽引する証券各社の2019年度第1四半期(4~6月期)決算が出そろいました。しかし、その中身を紐解くと、業界全体が直面している「底知れぬ不振」という厳しい現実が浮き彫りになっています。主要証券19社のうち、じつに16社が最終損益で減益または赤字を記録するという、極めて異例の事態に陥っているのです。投資家の間では「これほどまでに国内市場が冷え込んでいるのか」といった落胆や驚きの声が広がっています。

業界最大手の野村ホールディングスが同日に発表した内容を見ると、一見して明るい兆しが感じられるかもしれません。同社は大幅な増益を達成しており、経営の底力を見せつけた形となります。しかし、この増益を支えた要因は、あくまで「海外市場の環境好転」と「抜本的な構造改革」による効果が中心でした。華やかな数字の裏側では、私たちの身近な窓口である国内の個人向け「リテール部門(個人営業部門)」の苦戦が続いているのが現状です。

ここで言う「リテール部門」とは、証券会社が一般の個人投資家に対して株や投資信託の売買を仲介したり、資産運用の相談に乗ったりする業務を指します。SNS上では「最近はネット証券ばかりで店舗に行く機会が減った」という意見が多く見受けられますが、まさにその言葉通りと言えるでしょう。店舗を構えて対面でコンサルティングを行うという従来のビジネスモデルが、デジタル化の波や顧客ニーズの変化によって、今まさに大きな岐路に立たされています。

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店舗削減とコスト抑制の波、証券会社が進める生き残りのための「外科手術」

収益の柱であった国内リテールの低迷を受け、各社はこれまでにないスピードでコスト抑制へと舵を切っています。具体的には、不採算となっている店舗の閉鎖や集約を急ピッチで進めており、固定費を削ることで利益を確保しようという姿勢が鮮明になりました。かつては駅前の好立地に豪華な店舗を構えることがステータスとされてきましたが、今ではそれが経営を圧迫する重荷へと変わってしまっています。まさに「守りの経営」へとシフトしているのです。

筆者の視点から申し上げますと、今回の決算結果は単なる一時的な不況ではなく、証券業界における「地殻変動」の現れだと考えられます。野村ホールディングスが海外での利益確保に成功したことは、グローバルな競争力の証明と言えますが、国内事業がそれに追いついていない点は深刻な課題です。店舗を減らしてコストを削るだけでは、顧客の心まで離れてしまうリスクがあります。今後は「リアル店舗」にしかない付加価値をどう創出するかが鍵でしょう。

2019年08月01日現在、証券業界は過去の成功体験を捨て去り、新しい時代の姿を模索する過渡期にあります。AIの活用やスマートフォンを通じた資産運用の普及により、投資のハードルが下がっている今こそ、対面営業の存在意義が問われているのです。コスト削減の先に、どのような新しいサービスや価値を提示してくれるのでしょうか。私たちは、ただ数字を追うだけでなく、各社が描く「次の一手」を注視していく必要があります。

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