2019年6月7日、参議院の資源エネルギー調査会が、政府に対して研究開発の強化などを求める提言を取りまとめました。この提言の最大の焦点は、経済発展と地球温暖化ガス排出削減という、まさに現代社会が抱える二律背反の課題を両立させるための道筋を示すことにあったでしょう。エネルギー問題をめぐる議論は国民生活に直結するだけに、その内容に大きな注目が集まりました。
この調査会は、「原子力等エネルギー・資源に関する総合調査」を設置目的としていますが、最終的な提言では原子力発電、すなわち原発について直接的な言及を避けました。これは、原発の是非をめぐる与野党の賛否の隔たりがあまりにも大きく、建設的な提言をまとめる上で、この論点に踏み込むことが困難だった実情を物語っています。国会で議論を尽くすべき重要なテーマでありながら、あえて「触れず」という判断は、調査会の苦渋の決断だったと推察できます。
提言では、原子力をはじめとする個々の施策の在り方については「さまざまな議論がある」と婉曲的な表現にとどめています。しかし、その一方で、「エネルギーの課題解決のためには、技術革新の実現に向けた研究開発の強化が必要である」という点に関しては、「委員間で意見が一致した」と強調されました。これは、政治的な対立を超えて、イノベーションこそが未来を切り拓く鍵であるという共通認識を示していると言えるでしょう。
私が編集者として感じたのは、この「原発に触れない」という姿勢が、かえって技術革新の重要性を浮き彫りにしたということです。既存のエネルギー源の是非を問う議論が袋小路に陥る中、革新的な技術、例えば再生可能エネルギーの効率化や、次世代のエネルギーシステムの開発こそが、国民の不安を取り除き、持続可能な社会を実現するための唯一無二の希望であると訴えているように思えるのです。SNSでは、「結局、原発は棚上げか」「技術に希望を託すしかない」といった、期待と諦めが入り混じったような反響が見られました。
資源エネルギー調査会の提言は、脱炭素社会、カーボンニュートラルといった大きな目標達成に向けた「技術の力」への強い期待を込めた、ある種のメッセージであると解釈できます。今後、政府には、この提言を受けて、いかに具体的な研究開発のロードマップを描き、予算を投じていくのか、実行力が強く求められることでしょう。
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