地球温暖化への懸念が世界中で広がる中、二酸化炭素(CO2)の排出量が多い石炭火力発電への風当たりはかつてないほど強まっています。しかし、驚くべきことに日本国内では今もなお、新たな石炭火力発電所の建設が着々と進められているのをご存知でしょうか。2016年以降の動向を調査すると、少なくとも28基もの新設計画が現在進行形、あるいはすでに稼働を開始しているという事実が浮かび上がってきました。
これらの発電能力を合計すると約1345万キロワットに達し、これは一般的な原子力発電所13基分にも相当する莫大なエネルギー量です。政府が2019年08月01日時点で掲げる2030年の電源構成目標では、石炭火力の割合を約26%に設定しています。これは再生可能エネルギーや原子力発電の目標数値を上回るものであり、国が依然として石炭をエネルギー供給の重要な柱と位置づけている証左と言えるでしょう。
ベースロード電源の座を巡るジレンマと経済性の壁
ここで注目したいのが「ベースロード電源」という考え方です。これは、季節や天候、時間帯に関わらず一定量の電力を低コストで安定的に供給し続ける電源を指します。日本では石炭火力がその重責を担ってきましたが、ここに大きな課題が立ちはだかっています。需要に合わせて出力を細かく調整できない原子力発電が稼働し始めると、石炭火力の出番が減り、稼働率が低下して経済性が損なわれてしまうのです。
SNS上では「新しい発電所を作るよりも、もっと再生可能エネルギーに投資すべきではないか」という疑問の声が多く上がっています。一方で「電力の安定供給を考えれば、石炭火力を急にゼロにするのは現実的ではない」という慎重な意見も根強く、世論は大きく二分されているようです。環境アセスメント、つまり開発が環境に与える影響を事前に調査する仕組みも、現状では着工を遅らせる程度の効果に留まっているのが実情です。
私自身の見解としては、日本が掲げる環境目標と現実のエネルギー戦略の間に横たわる深い溝を、いかに埋めるかが問われていると感じます。技術革新により発電効率を高める努力は賞賛されるべきですが、それだけで世界的な「脱石炭」の潮流を押し止めるのは難しいでしょう。単なる新設の継続ではなく、既存の設備をどう段階的に縮小させ、次世代エネルギーへスムーズに移行させるかのロードマップをより明確に示すべきです。
投資マネーの引き揚げ「ダイベストメント」が迫る決断の時
資金調達の面でも、石炭火力を取り巻く環境は激変しています。世界的には、環境破壊に加担する企業から投資を引き揚げる「ダイベストメント」という動きが加速しました。日本の3大メガバンクも融資方針を相次いで改定していますが、エネルギー効率が高い案件には融資を継続するなど、欧米に比べるとまだ柔軟な姿勢を残しています。しかし、この温度差が国際社会から厳しい視線を向けられる要因にもなっています。
国内最大の投資機関であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、CO2排出の少ない企業を重視する姿勢を明確にしたことは、業界に大きな衝撃を与えました。2019年06月に閣議決定された長期戦略においても、2050年に向けて火力発電への依存度を可能な限り引き下げることが明文化されています。今はまさに、日本のエネルギー政策が歴史的な転換点を迎えている真っ只中にあると言えるでしょう。
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