スポーツの世界では、柔軟性が高いほどパフォーマンスが向上すると考えられがちですが、実は競技によって理想的な「筋肉の質」は正反対であることが判明しました。2019年08月02日、順天堂大学の宮本直和准教授らを中心とする研究グループが、走るスピードと筋肉の硬さの関係性について驚きのデータを公表したのです。
この調査結果によれば、短距離走の選手は筋肉が硬いほどタイムが良く、反対に長距離走の選手は筋肉が軟らかいほど好成績を収める傾向にあります。これまでの「体が柔らかい=運動神経が良い」という一辺倒なイメージを覆すこの発表は、多くの指導者やアスリートにとって非常に画期的な知見をもたらすことでしょう。
SNS上では「足が速い人には体が硬いタイプも多い気がしていたけれど、科学的に証明されたのは面白い」といった納得の声が広がっています。一方で「ただストレッチを頑張れば良いわけではないのか」と、自身のトレーニング方法を見直そうとするスポーツ愛好家たちの反応も目立っており、大きな注目を集めている状況です。
短距離走に「硬さ」が有利な理由とは?専門用語を紐解く
なぜスプリンターにとって筋肉の硬さが武器になるのか、その理由は「筋内膜」と呼ばれる組織の特性に隠されています。筋内膜とは、収縮する個々の筋肉細胞を包み込んでいる非常に薄い膜状の組織を指し、エンジンである細胞が発生させたエネルギーを外部へ伝える重要な役割を担っています。
この筋内膜が硬い場合、細胞が生み出した大きなパワーを逃がすことなく、瞬時に腱や骨へと伝達することが可能になります。つまり、地面を蹴る際のレスポンスが鋭くなり、爆発的な推進力を得られる仕組みです。たとえるなら、柔らかいクッションの上で飛び跳ねるよりも、硬い床の上で跳ねる方が高く飛べるのと似た現象が体内で起きているのでしょう。
私個人の見解としては、この研究が「画一的な柔軟性神話」に一石を投じた意義は極めて大きいと感じます。人それぞれ生まれ持った筋肉の質がある中で、自分の特性に合わせたコンディショニング戦略を立てることが、結果を出すための最短ルートになるはずです。今後は個々の硬さに適したオーダーメイドの練習法が普及することを期待して止みません。
長距離走に求められる「しなやかさ」と今後の展望
一方で、長い距離を走るランナーにとっては、筋肉の軟らかさが効率的なエネルギー消費を助けてくれるようです。長距離では一定のペースを維持しながら筋肉の伸縮を繰り返すため、組織が軟らかい方が無駄な力を使わずに済みます。このように、競技特性によって最適な肉体のスペックが明確に分かれる点は、生物の体の不思議を感じさせますね。
順天堂大学の研究チームは、今回の発見をベースとして、個々のアスリートに最適なトレーニング方法の開発を目指すと意欲を示しています。自分の筋肉がどの程度の硬さなのかを把握できれば、短距離向きなのか長距離向きなのかといった適性の判断や、弱点を補うための具体的なストレッチメニューの作成にも役立つはずです。
2019年08月02日のこの発表を機に、スポーツ現場での「筋肉との向き合い方」は大きく変わっていくに違いありません。科学の力で個人の才能を最大化させる試みは、将来のオリンピック選手育成にも多大な影響を及ぼすでしょう。私たちは、ただ闇雲に鍛える時代から、自分の質を理解して賢く磨く時代へと一歩踏み出したのです。
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