欧州のエネルギー政策を揺るがす重要な判断が下されました。欧州連合司法裁判所は、ベルギー北部にあるドール原子力発電所1、2号機の運転期間を10年間延長した同国の決定に対し、本格的な環境影響調査が行われていないとしてEU法違反の裁定を下したのです。ルクセンブルクに本拠を置く同裁判所のこの通告は、2019年08月02日、周辺諸国や環境保護団体の関心を一身に集めることとなりました。
そもそも今回の議論の的となっているのは、1975年に稼働を開始した老朽原発です。本来であれば運転開始から40年が経過した2015年に、その歴史に幕を閉じて廃炉となる計画でした。しかし、ベルギー国内にある合計7基の原子炉のうち、2014年に3基が予期せぬトラブルで停止する事態に見舞われます。この電力危機を乗り越えるため、政府は「電力の安定供給」を旗印に、廃炉の時期を2025年まで先延ばしにする特例措置を講じた経緯があります。
ここで注目すべき「環境影響調査」とは、発電所の稼働が周辺の自然環境や人々の健康にどのようなリスクを及ぼすかを、専門家が事前に評価するプロセスを指します。EUの法律では、大規模なインフラ整備や期間延長の際にこのプロセスが義務付けられていますが、ベルギー政府は十分な手順を踏まずに延長を決定してしまいました。この「手続きの不備」を裁判所が厳しく指摘した形であり、法治国家としての姿勢が問われているといえるでしょう。
SNS上では今回の判決に対し、「老朽化した原発をそのまま動かし続けるのは恐怖を感じる」「司法が環境リスクを重視したのは一歩前進だ」といった、安全性を懸念する市民からの歓迎の声が目立っています。その一方で、経済活動に不可欠な電力が不足することを危惧し、「現実的なエネルギー代替案がない中での判決は厳しい」と戸惑いを見せる投稿も散見され、世論を二分する大きな盛り上がりを見せている状況です。
しかし、裁判所も単に理想論を押し付けているわけではありません。判決では、もし運転を即座に停止することで電力供給が途絶し、社会に「深刻な脅威」が生じる場合には、暫定的に運転を継続することも認めるとの柔軟な姿勢を示しました。つまり、安全のための調査は不可避であるとしつつも、市民生活を混乱に陥れるブラックアウトを避けるための猶予期間を設けた、非常にバランスの取れた判断といえるのではないでしょうか。
私自身の見解としては、気候変動対策としての脱炭素化と、エネルギーの安全保障をいかに両立させるかという、現代社会が直面する難題が浮き彫りになったと感じています。経済性を優先して安全確認の手順を省略することは、万が一の事故の際に取り返しのつかない事態を招きかねません。ベルギー政府には、この2019年08月02日の判決を重く受け止め、透明性の高い議論と徹底した調査を迅速に行うことが強く求められています。
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