2019年08月04日、日本中を揺るがしている吉本興業の「闇営業」問題は、単なるタレントの不祥事という枠を超え、巨大企業のガバナンスを問う事態へと発展しています。反社会的勢力が主催する会合に、会社を介さず直接出演して報酬を得る「闇営業」の発覚は、世間に大きな衝撃を与えました。しかし、事態をここまで深刻化させた背景には、現場の判断ミスだけではない、組織の根深い構造的な問題が潜んでいると言わざるを得ません。
特に、2019年07月22日に執り行われた岡本昭彦社長による記者会見は、多くの人々に失望感を抱かせました。記者の鋭い追及に対して曖昧な回答を繰り返し、言葉を濁し続けるトップの姿勢は、およそ危機管理を担う企業のリーダーとは思えないほどに稚拙だったのです。笑いの殿堂を支えるはずのトップが、全く笑えない「ゼロ回答」に終始する姿は、視聴者の不信感を決定的なものにしてしまいました。
強権的なトップダウンが招いた経営の機能不全
SNS上では、吉本興業の体質を批判する声が止みません。「若手芸人の生活苦を放置してきた結果ではないか」という厳しい指摘や、「上層部のパワハラ気質な言動が恐ろしい」といった恐怖を口にする投稿が散見されます。かつては芸人とマネージャーが二人三脚で歩む家族的な社風が魅力だったはずですが、現在はそのウェットな関係性が、コンプライアンス、すなわち「法令遵守や社会的規範を守ること」を軽視する土壌に変わってしまったようです。
今回の騒動でクローズアップされているのが、実力者として君臨する大崎洋会長による「ワンマン体制」の功罪です。吉本を巨大なエンターテインメント企業へと成長させた手腕は確かですが、一方で権力が一点に集中しすぎたことで、周囲が意見を言えない風通しの悪い環境が醸成されてしまったのでしょう。組織のトップが絶対的な権力を持つ「ガバナンス(企業統治)」の不備が、今回の不手際を招いた一因であることは否定できません。
私自身の見解を述べさせていただくなら、吉本興業は今、芸人を「商品」としてではなく、一人の「人間」として尊重する原点に立ち返るべきです。法に触れる行為は断じて許されませんが、その背景にある低賃金問題や不透明な契約形態から目を背けては、真の解決は望めません。ファンが求めているのは、小手先の言い逃れではなく、芸人たちが安心して舞台に立てる環境の再構築であり、そのための抜本的な組織改革が急務だと確信しています。