【VR防災学習の最前線】写真からリアルな街並みを再現!自治体・企業向け教育ソフトを本格展開する白獅子の挑戦

近年、企業や地域社会における防災意識の向上が求められています。そのようなニーズに応えるべく、CG(コンピューターグラフィックス)アニメ制作を手掛ける白獅子(岡山市)が、仮想現実(VR)を活用した教育ソフトの制作事業を本格的に展開していることが分かりました。同社は、主に社員研修や住民への防災教育を目的として、工場内部や街角の様子を細部まで忠実に再現したVRコンテンツを提供し、2022年7月期には年間1,000本の受注を目指すという意欲的な計画を立てています。

VRとは「Virtual Reality」の略称で、専用の機器を装着することで、コンピューターが作り出した仮想的な空間をあたかも現実のように体験できる技術のことです。白獅子の提供するVRソフトは、一度パソコンにダウンロードしてしまえば、あとは頭に装着するヘッドセットなどの専用機器さえあれば、誰でも手軽に学習を始めることができます。利用者はVR空間内で発生した緊急事態に対し、コントローラーを操作して正しい行動を選択することで、実践的な防災の知識を効果的に身に付けることが可能となるのです。

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写真データから生まれるVR空間のリアリティと柔軟性

一般的なVRソフトの多くが、3次元(3D)カメラで撮影した映像を基に制作されることが多いのに対し、白獅子の手法は少し異なります。同社では、数千枚にも及ぶ写真データを元に、工場や街並みといった現実の風景をCGで再現するという、手間をかけた手法を採用しているのです。このアプローチは、実写映像を加工する場合と比べて制作に時間を要しますが、完成後のコンテンツの変更が容易であるという大きなメリットがあります。

例えば、防災教育用ソフトの場合、映像が完成した後でも、地震の揺れの度合いや、避難する人々の動き、ガス爆発といった様々なアクシデントのシナリオを後から簡単に追加・変更することが可能になります。これにより、ユーザーの環境や訓練の目的に合わせた、より柔軟で実践的な教育内容を提供することができるのです。このコンテンツの更新のしやすさこそが、白獅子VRソフトの大きな魅力の一つであると、私は考えます。一つのソフトの平均的な制作期間は1〜2カ月程度、費用は200万円から300万円程度を見込んでいるとのことです。

広がる導入事例と今後の展望

この新しい取り組みは、すでに具体的な成果を生み出しています。2019年3月には、大手内装デザイン会社と共同で、東京都内の自治体向けに防災教育用のVRソフトを第一弾として納入しました。現在も、大手重機械メーカーや岡山県内の自治体向けの案件で、試作品(サンプル)の制作などが進行中であり、特に防災意識の高まりを背景とした自治体からの受注を、早期に10本獲得することを目指しているとのことです。

春名義之社長は、「VRの活用は、教育の要点を分かりやすく伝える効果に加え、人材教育にかかるコストの削減にも寄与します」と語っており、その可能性を強く強調しています。受注の拡大を見据えて、同社は社内のCG担当スタッフを10名まで増員するほか、外部の協力会社も50〜60社に拡大する計画です。今後は、製造業の現場で役立つ作業マニュアルのVR化や、長年の経験が必要な「職人技」の技能継承に活用できるソフトの制作にも着手する方針で、活躍の場はさらに広がっていくでしょう。

SNSでの反響と企業の歩み

このVR技術を用いた防災教育の取り組みは、SNS上でも「写真から再現するというのはリアルで面白そう」「災害時のシミュレーションにはVRが一番効果がありそう」といった、そのリアリティと教育効果に期待する声が上がっています。また、「職人技の継承に使えるのは画期的だ」「製造業での応用にも期待したい」といった、今後の事業展開に対する関心の高さも窺えます。

白獅子は2013年8月に神戸市で創業し、2018年7月からは岡山リサーチパークインキュベーションセンター(岡山市)に拠点を移しています。2019年7月期の売上高は2,500万円を見込んでおり、翌2020年7月期には3,000万円、そして前述の通り2022年7月期には3億5,000万円という大幅な成長を目標に掲げています。同社の技術は、単なる映像制作に留まらず、私たちの安全や技能継承といった社会的な課題解決に貢献する、重要な役割を担うことになるでしょう。

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