2019年6月7日、日本経済新聞社と就職・転職支援の日経HRが実施した「人事が見る大学イメージ調査」の結果が発表されました。この調査は、上場企業や有力な非上場企業の人事担当者に、自社が採用した学生を通じて見た各大学のイメージについて尋ねたものです。驚くべきことに、関東・甲信越地域の総合ランキングでは、宇都宮大学が並み居る有名大学を抑えて堂々の首位を獲得されました。これは、学力だけでなく、企業が求める実践的な能力や人間力が、採用の現場で非常に重視されていることの現れだと言えるでしょう。
総合ランキングでは、首位の宇都宮大学に続き、横浜国立大学が2位、筑波大学が3位、そして長岡技術科学大学が5位にランクインされています。東京大学や早稲田大学、慶應義塾大学といった都内の著名大学を上回り、特色ある教育を展開されている地方の国立大学が、企業の採用担当者から高い評価を受けている点が特筆されます。この結果は、大学選びにおいて、単なる偏差値だけでなく、卒業後の社会での活躍を見据えた教育内容に着目すべきという、大変重要なメッセージを私たちに投げかけています。
人事が認めた「対人力」と地方国立大の革新的な教育プログラム
宇都宮大学が総合首位に輝いた最大の要因は、「対人力」における評価の高さにあります。対人力とは、他者との円滑なコミュニケーション能力や、チームで協働する際に発揮される協調性、人間関係を築く力など、社会で生きていく上で不可欠な総合的な人間力を指す専門用語です。宇都宮大学は、パンフレットに「宇大の英語、英語は宇大」というキャッチフレーズを掲げるほど、実践的な英語教育プログラム「EPUU(イープー)」に注力されています。
この「EPUU」プログラムでは、ネイティブスピーカーの講師陣が映画などを教材に使用し、単なる受験英語ではない、実際の会話で役立つ口語表現や欧米の文化について指導を実施しています。グローバルに通用する人材の育成を目指されており、学生の習熟度によってクラスを分け、優秀な学生には飛び級などの特典も付与する徹底ぶりです。このような努力が、企業から見て「対人能力の高い学生」というイメージに繋がり、結果的に総合ランキング1位という評価を獲得されたのでしょう。
2位の横浜国立大学も、宇都宮大学と同様に「対人力」で高い評価を得られました。こちらの大学も英語教育に力を入れられており、学生一人ひとりが英語を学ぶ目的や習熟度に応じて指導方法を変える、きめ細やかな指導体制を特長とされています。基礎学力に加え、実社会で直面するであろう異文化コミュニケーションの壁を乗り越える力を育成することが、現在の企業ニーズに合致していると言えるでしょう。
「独創性」と「行動力」で個性を磨く大学群
3位に位置付けられた筑波大学は、「独創性」の項目で特に秀でた評価を受けられました。独創性とは、既存の枠にとらわれない新しい発想や、独自の視点から課題を解決する能力を意味します。筑波大学では、入学直後の早い段階からキャリア教育を実施し、学生が自身の将来の進路や目標を主体的に見つけられるよう支援されています。自ら進むべき道を模索するプロセスを通じて、個性を磨き、社会で活躍するためのユニークな発想力を身につけさせている点が高く評価されたのでしょう。
また、5位に入られた長岡技術科学大学は、「行動力」の評価が際立っていました。行動力とは、目標達成に向けて主体的に動き出し、粘り強く実行し続ける力を指します。長岡技術科学大学が以前から積極的に導入されていた企業での実務経験を積む「インターンシップ制度」が、学生の実践力、つまり「行動力」の育成に大きく貢献していることがうかがえます。企業は、ただ知識があるだけでなく、その知識を活かして実際に動ける学生を求めている、ということがこの結果から明確に見て取れます。
基礎学力と特色ある教育のバランス
一方、「知力・学力」という基礎的な学問の知識や能力を問う項目では、東京大学、一橋大学、東京工業大学がトップ3を占め、早稲田大学や慶應義塾大学といった都内の有力大学も上位を占める結果となりました。これは、基礎的な学力という点では、やはり都内の有名大学群が優位性を保っているという事実を示しています。しかし、総合ランキングで地方の国立大学が上位に進出したことは、現代の採用市場において、基礎学力に加えて、地方大学が打ち出している「対人力」や「独創性」「行動力」といった特色ある教育プログラムの成果が、企業から非常に高く評価されていることを物語っています。
この記事の内容は、SNSでも大きな反響を呼んでおり、「地方の国立大学が頑張っているのは素晴らしい」「やっぱり社会に出て役立つスキルを身につけられる大学がいい」といった肯定的な意見が多く見受けられました。この調査結果は、大学が今後、単なる知識の伝達機関に留まらず、社会で求められる実践的なスキルや人間性を育む「教育機関」として、より一層の特色あるカリキュラム開発に力を入れる必要性を浮き彫りにしたと言えるでしょう。私自身も、知識偏重ではない、真の人間力を育む教育こそが、未来の社会を豊かにする鍵であると確信しています。
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