スマートフォン一つで誰でも手軽に不用品を売買できる「フリマアプリ」が、私たちの生活に深く浸透しています。しかし、その利便性の裏側で利用者同士の摩擦が激増していることが明らかになりました。2019年8月4日の取材によれば、全国の消費生活センターに寄せられた昨年度の相談件数は4,470件に達し、過去最多を記録したそうです。生活を豊かにするはずのツールが、思わぬ争いの火種となっている事実は見過ごせません。
今回の調査で浮き彫りになったのは、トラブルの内容が多岐にわたっているという点です。代金を支払ったにもかかわらず商品が送られてこないといった悪質な出品者への不満はもちろんですが、最近では購入者側に対する苦情も目立っています。無理な値下げを強要したり、商品到着後に理不尽な理由で返品を迫ったりする「落札者」の振る舞いが問題視されているのです。SNS上でも「マナーの悪いユーザーが増えた」といった嘆きの声が数多く上がっています。
C2C取引の盲点と法律が届かないもどかしさ
なぜこれほどまでに問題が多発しているのでしょうか。その背景には「C2C」と呼ばれる、個人(Consumer)から個人(Consumer)への直接取引特有の難しさがあります。通常、お店で買い物をするときには、消費者を守るための「特定商取引法」や「消費者契約法」といった法律が適用されます。しかし、これらの法規制はあくまで「事業者と個人」の取引を対象として設計されているため、フリマアプリのような個人同士のやり取りには原則として適用されないのです。
この法律の壁こそが、トラブル解決を困難にしている大きな要因と言えるでしょう。何か問題が発生しても、法的な保護が十分に受けられないケースが多いため、当事者同士で解決せざるを得ない状況に追い込まれます。インターネット上では「騙された方が悪いと言われた」「運営に報告しても関与してくれない」といった悲痛なつぶやきが拡散されており、ユーザーが抱える不安の大きさがSNSの反応からも手に取るように伝わってきます。
さらに、プラットフォームを提供する運営企業の姿勢も問われています。多くのフリマアプリ運営会社は、売買に関するトラブルについて「原則として責任を負わない」というスタンスを貫いているのが現状です。場を提供するだけで責任は取らないというやり方には、利用者から疑問の声が上がるのも無理はありません。もちろん、決済システムの保護などは進化していますが、肝心のトラブル対応において運営が消極的であることが、被害の拡大を助長している面は否めないでしょう。
筆者としては、市場がこれほど巨大化した以上、もはや「個人のモラル」だけに頼るステージは終わったと感じています。今後は運営側によるより踏み込んだ介入や、個人間取引に即した新しいルール作りが不可欠ではないでしょうか。もちろん、私たち利用者も「安く買える」というメリットだけに目を奪われず、相手の評価を慎重に確認するなど自衛の意識を持つことが大切です。2019年8月5日現在、誰もが安心して楽しめるフリマ文化の醸成が、今まさに求められています。
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